地理学評論 Vol. 87, No. 6 2014 年 11 月

●―短 報

地下水揚水規制施行以前の東京都区部における地下水揚水量と国民総生産の関係 愛知正温・斎藤 庸・徳永朋祥・449460

●―書 評

岡田俊裕: 日本地理学人物事典〔現代編1〕(吉野正敏)・461-463

井上 孝・渡辺真知子編著: 首都圏の高齢化 人口学ライブラリー14(田原裕子)・463-464

横山 智編: ネイチャー・アンド・ソサエティ研究 第4巻 資源と生業の地理学(遠藤 尚)・464-466

椎野若菜・白石壮一郎編: 100 万人のフィールドワーカーシリーズ第1巻 フィールドに入る,佐藤靖明・村尾るみこ編: 11巻 衣食住からの発見,木村周平・杉戸信彦・柄谷友香編: 5巻 災害フィールドワーク論(岩田修二)・466-468

学界消息・469

会  告・表紙2および470-473

2015年春季学術大会のお知らせ(第2報)・表紙2

 

 

短報

地下水揚水規制施行以前の東京都区部における地下水揚水量と国民総生産の関係

愛知正温*・斎藤 庸**・徳永朋祥***
*東京大学人工物工学研究センター,**日本工営,***東京大学大学院新領域創成科学研究科

地盤沈下問題が顕在化する前の時期には,地下水揚水量の調査が行われることはきわめて少ない.このため,地下水流動や地盤沈下に関する信頼性の高いモデルを構築できないことが多い.本研究では,東京都区部を対象とし,既存の地下水揚水量データと国民総生産との関係を検討し,地下水揚水規制が始まる前の地下水揚水量の推定を試みた.その結果,両者の関係は,1959年前後において屈曲する区分線形関数により,よく近似されることがわかった.地下水揚水量と国民総生産の近似関係式を外挿して求めた過去の地下水揚水量の推定値は,世界恐慌や第二次世界大戦時の地盤沈下速度の低下や地下水位の変化と調和的であった.このような推定手法は,東京のような国家経済を牽引する大都市に対して有効であると考えられ,現在地盤沈下等の問題に直面しているアジアの大都市において,不足している地下水揚水量データを推定するための一手法として期待される.

キーワード:地下水,揚水量,区分線形関数,国民総生産,東京

(地理学評論 87-6 449-460 2014)