会長のあいさつ

村山祐司

村山祐司

2018年6月23日に開催された公益社団法人日本地理学会の総会において,第37代会長を拝命いたしました.2020年6月までの2年間,地理学の発展のため微力を尽くす所存ですので,ご支援よろしくお願いいたします.

日本地理学会は,1925(大正14)年に創立された日本の地理学界を代表する学会の一つです.大学や高校の教員,大学院生をはじめ,研究所・官庁・自治体・民間企業の方々など,約3,000名の会員を擁しています. 当学会は,定款に記されているように,「地理学に関する学理およびその応用の研究に関する事業を行い,地理学の進歩普及を図り,もってわが国の学術の発展と科学技術の振興に寄与するとともに,地理教育の推進,社会連携の推進,国際協力の推進を図り,社会の発展に資する」ことを目的としています.したがって,学問としての地理学を進展させるだけでなく,国際交流や社会貢献,学校教育支援なども求められています.公益社団法人として研究の成果を社会に還元しながら,グローバルな視野をもって持続可能な社会づくりに貢献していきます.

地理学は,自然科学的な性格と人文・社会科学的な性格を合わせもち,総合の科学とも文理融合の科学とも称されます.地理学では,俯瞰的な思考や関係性の解明といったシステム的見方・考え方を重視します.フィールドワークや実験,統計・データ処理などを駆使して,地表空間で生起する自然現象や人間活動の地域的動態を帰納的に解き明かそうと試みる点に特徴があります.

最近,地理(学)に対する社会的関心が高まっています.周知のように,学校教育では,高校に必履修科目として「地理総合」が誕生し,2022年からすべての高校生が地理を学ぶことになります.一般社会においては,いわゆる教養地理が老若男女を問わず注目を集めています.テレビでは,NHKのブラタモリをはじめ,地域巡りや旅の番組が人気を博しています.余暇活用の時代を迎え,良質な科学的地理情報が必要とされているのです.今日,行政・自治体・企業などの組織体においては,地球環境問題の根本的解決をめざすSDGs(持続可能な開発目標)への取組が活発になっています.総合の科学を自負する地理学は,オープンサイエンスやシチズンサイエンスとも親和性が高く,SDGs研究に大きな役割を果たすことが期待されます.前述した高校の「地理総合」でも,SDGsは到達目標の柱に位置づけられています.

当学会は,2025年に創立百周年を迎えます.この機会を捉え,理事会では2018年2月に学会活動の中期ビジョン(中期目標)を策定いたしました.これは,3~10年先を見据え,これからの日本地理学会のあるべき姿,活動の方向性,新規事業,社会への貢献などを提示したものです.公益社団法人としての新しい姿を社会に示し,次の百年に向けてスタートを切りたいと考えています.研究活動にとどまらず,こうした日本地理学会の普及・啓発活動にもご理解いただき,地理学の一層の発展にご協力を賜れば幸いです.

平成30年6月23日
公益社団法人日本地理学会
会長 村山祐司