会長のあいさつ

松原 宏

松原 宏

2020年6月27日に開催された公益社団法人日本地理学会の総会において、第38代会長に就任いたしました松原 宏と申します。

日本地理学会は、1925(大正14)年に創立し、2025年に100周年を迎えます。大学や高校の教員、大学院生をはじめ、研究所・官庁・自治体・民間企業の方々など、約3000名の会員を擁しています。当学会は、定款に記されているように、「地理学に関する学理およびその応用の研究に関する事業を行い、地理学の進歩普及を図り、もってわが国の学術の発展と科学技術の振興に寄与するとともに、地理教育の推進、社会連携の推進、国際協力の推進を図り、社会の発展に資すること」を目的としています。

今年の総会は、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するために、大幅に規模を縮小して開催されました。2020年の秋季学術大会は、初めてのオンライン開催となりましたので、会長としてリアルに登場する機会は当分ありません。出席予定だった国際会議も延期となりました。ただし、こうした状況だからこそ、100周年に向けて、これまでの学会の足跡をじっくりと整理したいと思いますし、2022年に高等学校で必修となる「地理総合」への準備を加速化する必要があると考えています。

これまでも日本地理学会の多くの会員が、SDGsなどの地球的課題から身近な地域の課題まで、さまざまな課題解決に関わってきました。ウイズコロナの時代において、近接性や立地に関わり、「ソーシャル・ディスタンシング」や「新しい生活様式」、テレワーク、サテライトオフィスなどが重視されてきています。そうした人々や企業の行動のみならず、東京一極集中の是正など、地域間関係の見直しに関して、地理学の果たすべき役割は大きくなっています。

一昨年と昨年に続き、今年も豪雨による甚大な被害が発生しています。日本地理学会では、学会の専門家が、現地での緊急調査を実施し、災害の被害状況の正確な把握を行うとともに、被害が発生し、拡大した要因を科学的見地から究明してきています。今後も、自然科学と人文・社会科学にまたがる地理学の強みを活かして、多角的に被害を検証し、防災・減災、復興に向けた政策提言を積極的に行っていく所存です。

こうした私どもの研究・教育・社会活動につきまして、関心を寄せていただき、議論の輪に加わっていただくとともに、ご協力賜れば幸いに存じます。

2020年7月
公益社団法人日本地理学会
会長 松原 宏