(社)日本地理学会の新法人制度への対応について

2009年12月12日

(社)日本地理学会会員各位

(社)日本地理学会理事会

 2008年12月1日に施行された新たな法律により,既存の公益法人は向こう5年間特例民法法人として存続し,その間に新たな法人形態を選択して,移行を完了しなければならなくなりました.このことについて,(社)日本地理学会では新法人制度対応委員会をつくり,そこを中心に対応を検討してきました.これまでの検討結果をご報告いたしますので,会員の皆様のご意見を学会事務所まで,電子メールoffice@ajg.or.jpもしくはFax 03-3815-1672,あるいは書面(〒113-0032 東京都文京区弥生2-4-16 学会センタービル内 日本地理学会 宛)にておよせいただきますようお願い申しあげます.

1. 公益法人制度改革
・ 2008年12月1日に,行政改革の一環として「公益法人改革」を実施するための3法律が施行され,民法34条に基づいて設立されたこれまでの公益法人は,今後5年以内に,すなわち2013年11月30日までに,新たな法人形態を選択して,移行を完了しなければならなくなった.選択肢としては,公益社団法人と一般社団法人,解散の3つがある.
・ 2008年12月1日をもって,旧公益法人は過渡的な法人形態である「特例民法法人」となり,日本地理学会も現在その状態にある.

2. 新たな法人形態
・ 公益社団法人
メリット: ① 社会的評価・信用が大きい(今後「公益法人」の名称は認定された公益法人のみが使用できる).
② 税制で優遇される(法人税優遇,寄付税制の恩恵を受けることができる).
③ 公的・私的機関からの補助金や寄付金の対象となりやすいと考えられる.
④ 収益事業がある場合,その利益の一部を公益事業の費用の一部に充当できる.
デメリット: ① 公益事業比率が50%以下になってはいけない.
② 公益事業は原則として赤字にならなければならない(そこに会費などを投入して黒字にするなど,収支相償になることが必要).
③ 事業ごとに区分会計をしなければならないなど,会計処理が煩雑になる.
④ 学会経営における高いセルフガバナンスが要求される.
⑤ 認定基準を満たさなくなった時点で,解散しなければならなくなり,その際には資産は類似の団体に寄付しなければならなくなる.
・一般社団法人
メリット: ① 公益事業や会計,学会経営のセルフガバナンスなどの縛りは緩やかである.
② 収益事業も公益事業も自由にできる.
③ 申請により比較的容易に認可される.
デメリット: ① 社会的評価・信用が公益社団法人よりは劣る.
② 税制での優遇措置は大きくない.
③ 「これまで公益法人として形成,蓄積されてきた純資産」を新しい法律の下での公益目的事業のために消費し尽くす必要があり,そのために「公益目的支出計画」を作成し,それを長期にわたって実施しなければならない.また,この間これまでどおり主務官庁の監督下におかれる.
・解散
なにもしなければ解散となり,資産は類似の団体もしくは行政体に寄付しなければ らないので,この選択肢は考えられない.

3. 一般社団法人への移行について
 一般社団法人の認可を受ける場合,「公益目的支出計画」を作成して,それを実施することが最も大きな課題となるが,これまでの財務状況からシミュレーションを行った結果,20年前後であまり無理なく公益目的財産を使い切ることができると予想できた.このことから,一般社団法人への移行についてはそれほど困難がないのではないかという結論に至った.

4. 公益社団法人への移行について
 一般社団法人に移行する場合,公益目的支出計画が終了するまで主務官庁の監督下に置かれ,それなりに手間がかかり,これは公益社団法人に移行した際の事務量と大きく変わらないと予想される.それならば,「より高い社会的評価・信用を得ることができること」や「かつて社団法人化の際に,事業拡大を通じて学会の地位の向上,地理学の普及・発展,それを通じた社会への貢献を意図した」ことからすれば,公益社団法人を目指すべきだという意見は,説得力がある.

5. 財務関係における新法人制度への対応
1) 公益法人会計基準の切り替えについて
公益・一般のいずれの社団法人でも,20年度公益法人会計基準による経理を行わなければならない.現在は16年度会計基準であるので,どこかの時点で移行が必要である.新法人への移行との関係から,申請時までは16年度基準を続行し,新法人の認定(認可)がなされ登記される前日までを旧年度末として16年度基準で決算を行い,登記日から次の3月末日までを新年度として20年度基準で経理する方式が合理的と考えられる.すなわち,2010年度も16年度基準で経理をし,申請書の作成は16年度基準の決算結果から20年度基準でのシミュレーションをやることになる.
2) 事業の仕分けについて        
公益認定の申請時には,公益事業を「公益認定等ガイドライン」にある分類に対応させて仕分けする必要がある.現状では,①学会誌の刊行,②大会・研究集会,③国際交流,④資格認定,⑤研究奨励・普及・表彰が,日本地理学会の事業となる可能性がある.これらの公益性が認められれば,公益社団法人を目指すことも無理ではない.すでに認定されている学会や法人の例に注目する必要がある.公益社団法人の場合には,それぞれの事業ごとに区分会計をしなければならないので,作業が煩雑になる.

6. 総務関係における新法人制度への対応
総務専門委員会が「公益社団法人日本地理学会定款(案)」を作成し,現在それを検討しているが,今後とも内閣府が示した定款の雛型などを参考に検討を続ける必要がある.また,細則の整備や,申請書の作成準備,そのためのそれぞれの事業の公益性の説明を考えなければならない.

7. 他学会の動向
  すでに認定されている学会があると良いが,いまだそのような例は見つからない.学会以外の法人(例えば公益法人協会など)も含めて参考事例を集める必要がある.

8. 専門家への委嘱等について
  いずれにしろ最終的には専門家に依頼しなければならないが,当面は,日本地理学会の会計顧問をお願いしている木下税理士と相談する.また,ある程度の方向性がでてきたところで,(公財)公益法人協会や公益認定等委員会の意見を聞く必要がある.

9. 今後の予定(行程表)  
1) 広く会員からの意見や情報を得る.
2) 2010年3月の代議員会において新法人制度対応の基本的方針とスケジュールを示し意見を求める.
3) 2010年度には16年度会計基準を踏襲するが,その結果に基づいた新しい会計基準による財務上のシミュレーション,定款・細則の整備,申請書類の作成を行う.
4) 必要に応じて専門家のアドバイスを得る.
5) 2011年度中(次期理事会の2年目)に法人申請を行うことを目指す.

  • タグ:
  • カテゴリー:未分類
  • 投稿日:2009年12月16日