(21)ジェンダーと空間/場所研究グループ - 日本地理学会

代表者  影山 穂波

 

1) 研究会の開催

[秋季学術大会]2016年10月1日(土)13時〜15時、於 東北大学川内北キャンパス。
清水沙耶香(名古屋大・院):「トロントにおける都市企業家主義の進展とエスニック空間の変化―移民女性に注目しながら―」
本報告では、トロントのイタリア系移民女性に焦点をあてながら、エスニック空間の変化の一端を1984年~2013年のToronto Star紙の新聞記事を中心に明らかにしようとする試みがなされた。エスニック空間は、移民の集住地として、相互扶助やホスト社会からの防御といった機能を有してきたが、観光地化や都市の企業家主義的動きの影響により、その機能は変化してきた。その結果、1960年代までイタリア系移民女性は、「異国人」と描かれ、男性に比べ英語の学習機会は少なく、彼女らの生活はイタリア系移民社会内部で完結する様子が示された。一方、1970年代以降、彼女らは「ファッショナブル」と描かれ、外部社会とも積極的に関わるようになった。その背景には、イタリア的父権主義の打破を目指した2世女性の動きがあったと考えられる。他方、英語の話せない1世女性は現在もエスニック空間内部に存在し、移民社会内部に閉ざされた生活を送っていると推測された。都市企業家主義的動きが進展する傍らで、こうした移民女性の存在を認識することは、現代のエスニック空間を捉える上で重要であるという指摘でまとめられた。
本研究会では本務校での業務等により、グループメンバーがあまり参加できなかったものの、7名の参加者とともに活発な議論がなされた。

2) Geographical review of Japan series B Vol. 89(2016) No. 1においてジェンダー特集を組んだ。また本研究グループが管理するホームページを通じて活動内容を掲載し、情報発信に努めた。

 


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