2023年春季学術大会 高校生ポスターセッション 発表タイトルおよび要旨

発表番号,発表タイトル,発表者(学校名),発表要旨

01 次の世代につなぐ町のたたみ方
  高橋奏翔・浅黄さら(山形県立東桜学館高等学校)

(発表要旨)本研究の目的は、山間部の人口減少がみられる山形県内の西川町について、地域の人々の幸福に配慮しつつ、どのように町の機能をよりコンパクトに、新しい形に創造しなおすかについて検討することである。人口減少が著しい自治体の人口流出防止や都市からの移住を促す政策については、行政やNPO団体などでさまざまな提案・実践が行われている。例えば、企業移転の促進や魅力ある地方大学の創造などであるが、山形県の多くの山間地域では実現可能性が低い。そのため、研究対象とした町の機能を縮小する内容と方法を具体的に検討した。研究対象は、山形県内陸の山間部に位置する西川町である。特に豪雪で知られる大井沢地区を中心に考察した。研究方法は、西川町役場や住民への聞き取り調査を中心に行った。研究を進めていく中で、西川町への移住希望者、自治体、企業が連携したしくみを考案し、縮小した町の新たな形をデザインすることができた。

 

02 福島県双葉郡広野町における局地風「五社山おろし」の実態
  紺野一剣(福島県立ふたば未来学園高等学校) 

(発表要旨)福島県双葉郡広野町には、晩秋から春先にかけて阿武隈高地からの強風が吹く。地元民が「五社山おろし」と呼ぶこの風は、その実態についてはほとんど研究が行われていない。そこで、本研究では、アメダスのデータや地形の検証を通して、「五社山おろし」の局地風としての特殊性を検証し、その実態を定義付けすることを目的としている。令和3年より続けている本研究では、地元住民へ「『五社山おろし』の具体的な特徴」についてのアンケートを取った。また、1976年から2022年までの広野と他の浜通りの3地点の冬季の気象データを基に、当期間の日最大風速7m/s以上の日数とその風の16風向の割合を調査した。これらの検証結果から、冬型の気圧配置時に西北西から吹く強風が「五社山おろし」であると考察した。今後は、QGIS等を用いた地形の調査データを集積し、地形の変化で当該強風の特殊性が現れるのかなどの考察を行っていきたい。

 

03 茨城県日立市における住宅団地の現状と人口減少緩和策の提案
  永田 明日音(茨城県立日立第一高等学校) 

(発表要旨)東京への一極集中が進む中で地方の人口減少は大きな課題である。茨城県日立市は日立製作所の発展に伴い形成された企業城下町であるが、近年人口減少が著しい地域であり、2013年と2014年には全国で2番目の人口減少率になった地方都市である。本研究では、日立市で進む人口減少の緩和策を提案するため、統計資料による調査と日立市内にある住宅団地を対象とした空き家の戸数等の現地調査を行った。調査対象地域は人口減少率が周辺地区よりも高く、空き家も多いことがわかった。また、住民の足となるバスが昼間に1時間に1本しかなく、生鮮食料品の購入場所もない場所であった。しかし、ここは高台に位置しているため、景色の良い住環境であり、近くには茨城大学工学部のキャンパスがあるため、毎年一定の流入人口が見込まれる場所でもある。この条件を生かした日立市の人口減少緩和策として流入してくる大学生に向けた空き家の活用を提案したい。

 

04 茨城県つくば市における大規模営農の特徴とその課題
  菅野翔太(茗溪学園高等学校) 

(発表要旨)日本では専業農家の減少や、農地が小規模であることによる国際競争力の低下など農業を巡る問題が深刻化している。そこで近年、政府や自治体では農地の大規模営農を推進するなど積極的な取り組みが行われている。本研究では、茨城県つくば市における大規模営農の経営状態の特徴を5軒の農家への聞き取り調査などから明らかにし、その利点と課題点についても明らかにした。また農業センサスを用いて、茨城県つくば市の地区別の規模別農家数の分析を行い、地区ごとの大規模化の現状を明らかにした。その結果、大規模営農の利点として「経営規模の拡大・安定」「新たな産業(6次産業化)を行うことができる」などが挙げられた一方、「耕地面積の拡大による作業量の増加や効率化への投資」などが課題として挙げられた。今後、効率的な農業や大規模化を推進していくためには地域間での協力は不可欠で、いかに地域間での結束を強めていくかが課題である。

 

05 つくば市研究学園地区における子育て世帯の現住地選択に関する意思決定過程
  樋上祐貴(茗溪学園高等学校) 

(発表要旨)本研究では、つくば研究学園地区における子育て世帯の現住地選択に関する意思決定過程を明らかにすることを目的とする。つくば市では、社会・自然増加が続いている。つくば市の年少人口は15%以上と高い割合を占めている。本研究にあたり、つくば市研究学園地区内に居住する18歳以下の子どもがいる世帯を対象にアンケート調査と聞き取り調査を実施した。その結果、多くの世帯が子供の教育環境を最も重視していた。転居のきっかけは、つくば市内の研究・教育機関への転勤が多かった。探索地域として、千葉県内のつくばエクスプレス沿線地域が候補として挙げられた。転入契機と居住選好は密接に関わっていることが分かった。今後のつくば市の人口は、年少人口が減少し、老年人口は増加していくと考えられる。これらを解決するためには、現在の人口を維持するために、つくば市内での就職数を増やし、教育政策をし続ける必要がある。

 

06 茨城県つくば市における営農型太陽光発電の現状と展望
  古市高(茗溪学園高等学校) 

(発表要旨)現在、日本では、営農型太陽光発電システムが急速に普及しつつある。これは、農地において、太陽光発電と農業を融合させて行われる事業である。これにより農家の収入の安定化、耕作放棄地の解消、地域の電源となることなどが見込める。多くの営農型太陽光発電は営農業者と売電業者が協力して事業を行うことで成立している。本研究では茨城県つくば市における営農型太陽光発電の現状と展望を明らかにするため、営農を主体とする事業者と売電を主体とする事業者の計2ヵ所に対し聞き取り調査を行った。その結果、営農型太陽光発電の運用は現在、本来の目的と乖離した形で行われている場合が多く、特に営農が軽視される傾向があることが明らかとなった。しかし今後は、売電価格の低下により売電を主体とすることは難しくなり、営農を中心とした本来の目的での運用が積極的になされるようになるものと推察される。

 

07 人口減少割合と産業別人口の関連性 ―埼玉県小鹿野町を事例として―
  相坂 凌吾(埼玉県立浦和高等学校)  

(発表要旨)近年、地方を中心に人口減少が加速しているが、これはその地域の産業構造との因果関係があるのだろうか。本研究では、埼玉県小鹿野町を例に2000年度と2020年度の国勢調査を用いて小地域別の産業別人口と人口減少割合を調べ、それらのデータを地図上に示した上で、その因果関係を考察した。人口減少の割合が高い地域は、山間部に多く、その小地域では第二次産業従事者割合が、同町内のみならず周辺市町村に比べても高い。産業が立地しているにも関わらず人口減少が進んでいるのは、高齢化に加えて、製造業における給料の低さが若者の都市流出を招き、また町外からの流入も少ないことが一因だと考えられる。過疎化を食い止める策として農業の保護など第一次産業が主眼を置かれることが多い。しかし小鹿野町のように第二次産業に立脚している地方自治体も多いことを考えると、給与の増加といった第二次産業の改善も、地方の活性化のために必要であろう。

 

08 救急医療の現状と課題に関する考察 ―埼玉県朝霞市を事例として―
  鬼塚 雄大(埼玉県立浦和高等学校)  

(発表要旨)首都圏におけるベッドタウンとして重要な役目を担う埼玉県朝霞市における救急医療の現状を明らかにする目的で本研究を行った。研究にはGISや国勢調査などの行政機関が公表するデータを用いた。はじめに朝霞市内の救急医療機関の分布を調べた。市の中心部に機関が集中しており、自家用車で片道10分で、住宅地となっている朝霞市全域から各機関へアクセスできるという結果を得た。つぎに推計人口と医療機関の分布から考察した。市内北東部の地域は土地の標高や各機関までの距離といった地理的要因によって搬送が遅れる可能性がある。さらに二次医療機関の患者数と医師数について調べた。朝霞地区は比較的に患者の受け入れ数は多いものの人口10万人あたりの医師数は非常に少ない。医療崩壊に繋がりかねない。本研究を通して、二次医療圏を超えた医療を管理するAIシステムの導入・医師の働く環境の整備・行政機関による医療機関への資金援助が必要であると考える。

 

09 整形外科医院の分布に関する考察 ―埼玉県川口市を事例として―
  山浦 翔太郎(埼玉県立浦和高等学校)  

(発表要旨)高齢になるにつれ、整形外科の受診を必要とする症状が出やすくなるため、住宅街など近くて通いやすいところに高度な検査や治療、手術のできる病院が必要であると考えられる。そこで、埼玉県川口市において20床以上の病床を有する整形外科のある病院を対象に、その分布を考察した。その結果、対象となる病院の多くは鉄道沿線に多く分布していること、川口市北東部には病院が近くにない地域があることが分かった。前者の要因としては、かかりつけ医ではないので、患者はそれぞれにあった専門病院に行く必要があるため、結果的に鉄道を利用する来院者に配慮するような分布になったと考えられる。後者については、市の北西部には洪積台地の起伏が多く、規模の大きい病院の建設が難しかったものと考えられる。しかし、住宅街の開発により川口市の人口は増加傾向にあり、高齢化も進んでいるため、それに対応した整形外科医院へのアクセシビリティの確保が求められる。

 

10 千葉市の小中学校における地震災害リスクと立地位置との関連性、及び避難所としての活用について
  渕瑞樹(千葉経済大学附属高等学校)  

(発表要旨)本研究は、千葉市全6区の公立小中学校162校を対象に、各学校のHPや国土地理院地図などを用いて、各学校の設置年、設置場所の標高と土地条件それぞれの関係性を分析し、立地位置の特徴と地震災害リスクについて考察したものである。その結果、①中央区は年代が進むにつれ、学校設置場所は標高が低い盛土地の区の中心部から、標高が高い更新世段丘へとシフトしている。②美浜区は設立年を問わずほとんどの学校が高い盛土地上にあり、液状化のリスクが高く、区内の学校を特に避難所として使用するのはあまり適していない。など、区ごとに傾向があることが明らかとなった。将来起こり得る首都圏での大規模地震を見据えると、避難所としての安全性に疑念がある学校については、統廃合も含めて立地を再検討することが必要と言える。また、特に災害リスクが高く、現在も人口が微増傾向にある美浜区は、避難所を確実に確保すべく、他区とも連携したソフト対策を講じるべきだと考える。

 

11 古地図・絵図の分析から見る長沼事件に関する考察
  渡邊葵子(千葉県立千葉高等学校)  

(発表要旨)今回取り扱った長沼事件は 1872 年に旧長沼村(現成田市長沼地区)で起きた長沼という沼の所有権をめぐる 28 年間に渡る一連の抗争のことをいいます。この事件解決には福澤諭吉が深く関係しており、私は実際に長沼地区を訪れゆかりのある場所を周るといった実地調査、長沼事件の中心人物ともいえる小川武平の玄孫である小川不二夫さんや成田市史に詳しい方々に直接お話を聞くなどの聞き取り調査、そして図書館に収蔵されている事件当時の古地図を実際に見て分析するといった方法で研究を行いました。この研究活動を通して、以下の点がわかりました。一つ目として福澤のような近代学問における偉人が成田地域の変遷に関わっていたこと、二つ目として、彼の持つ精神が地域形成に大きな影響を及ぼしたこと、三つ目として、彼の影響が村民の主体的な営みとして現代に脈々と受け継がれてきたいうこと、この三点が明らかになりました。

 

12 高根台団地における団地再生の現状と新たな提案
  馬場悠樹(千葉県立船橋芝山高等学校)  

(発表要旨)高根台団地は、1961年に入居が開始された集合住宅団地である。一部が建て替えられたが、約3分の1の住棟は現存している。この地区を対象として、現地調査や団地自治会、地区社会福祉協議会等に聞き取り調査を行い、「ほっと処よりみち」や「ミニデイ」等の高齢者を対象とした多様なコミュニティ活動が行われていることがわかった。団地の人口構成の変化を明らかにするために町丁別人口統計等を用いて分析した結果、建て替えられなかった団地の高齢化が深刻であることがわかった。また、団地に対するイメージを明らかにするために10代150名にアンケート調査を行うと、「古そう」等のネガティブな回答が多かった。そこで、現存する団地を活用したリノベーションや塗装の工夫、住民の交流を促す等の団地再生策を考案した。その実現により、多世代が交流することで、若者や高齢者の生きがいの創出に繋がり、コミュニティ活動の活性化が期待できる。

 

13 ツイート情報を利用した降雹範囲の検証
  林日菜子(市川学園市川高等学校) 

(発表要旨)22年6月2日、3日に発生した降雹について降り始めた時刻や場所、降雹範囲等が不明だった。本研究はTwitterを用いて降雹範囲を検証する。2日15時から4日9時の42時間を対象としTwitterで雹というワードを指定し5分毎に分けツイートを数えた。そのうち気象・雹害情報を含むものを数え文面や投稿者のプロフィールから推定される位置情報を記録した。結果、雹を含む総解析ツイートは90790件、気象・雹害情報を含むものは47640件だった。2日は埼玉と群馬を中心に18時頃激しく、3日は千葉を中心に16時頃激しく降った。1時間毎に降った時間に分けるとは2日間で16時間だった。特に3日の11時頃山形、13時頃東京、15時頃埼玉を中心に降り2つの場所で雨雲が南東方向へ移動したと分かった。このようにツイートから降雹範囲を正しく推定できるためTwitterは他の気象現象解析にも活用できると考える。

 

14 鉄イオンが玄武岩から溶出する条件から考察する別府明礬温泉の温泉水の生成過程
  櫻井陽葵(市川学園市川高等学校) 

(発表要旨)鉄イオンが玄武岩から溶出するときの条件から、温泉分析書に記載された鉄イオンの量を満たす温泉水の生成過程について考察した。玄武岩からの鉄イオンの溶出については、純水中性条件下ではほとんどなかったが、硫酸酸性条件下のときに活発に起こっていたことから、温泉水中への鉄イオンの溶出は、中性条件下では行われず、地下水に火山ガス中の成分、例えばH2Sが溶出したあとに起こったと考えられる。また、水温が88.5℃以上になると、一瞬でも岩石と溶媒が接触したときに、鉄イオン濃度が5.8mg/L以上になると考えられる。対象とした温泉周辺の地下帯水層付近の地温は約200℃であることから、温泉水中の鉄イオン濃度は温泉水の滞留時間に依存せず、地下水の液性や温度、地質に影響があると推測される。

 

15 生物多様性を生かしたまちづくりへ向けての戦略について考える―仙台堀川公園の改修工事を例として―
  東山 蓮太郎(専修大学松戸高等学校) 

(発表要旨)東京都江東区中央部に位置する仙台堀川公園は、都内最大の親水公園として位置付けられている。開園から40年経過し、老朽化が著しく進む同園は、区を主体に改修工事を進めているが、その目的は、①道路の拡幅、②電線の地中化、③施設の更新の3点にある。改修により、実用性向上が望まれる一方で、生息環境の改変による影響が懸念される。以上の点を踏まえて、本研究では、①改修目的の達成度、②生物生息環境への影響、③生物多様性を生かしたまちづくりの実現へ向けての可能性について、環境NPO「ネイチャーリーダー江東」への聴き取り調査の成果を通して、明らかにすることを目的とする。調査結果として、水路の暗渠化によって水生生物の減少、木の伐採によるツミの営巣に影響があるなど生息環境の破壊が見られることが明らかになった。この結果を踏まえ、生物多様性を生かしたまちづくりにあたっての戦略について、当日の発表で明らかにしたい。

 

16 千葉県流山市の発展要因ー内部的要因と柏市との調和に着目してー
  荒井 陸(芝浦工業大学柏高等学校) 

(発表要旨)近年、日本では少子高齢化が著しく進み、これは首都圏も例外ではなく、千葉県内も人口が減少している。しかし、私の住んでいる流山市は合計特殊出生率が全国一位になるような状況になるなど、他の市町村とは一線を画している。そこで大きな地方都市である柏と隣接している流山市がどうしてここまでの発展を遂げることができたのかという点に着目し、WebGIS、行政の発行している資料、市の担当者への質問を元に研究を進めた。その結果、柏市中心部である柏駅との共存という面では、流山おおたかの森SCと柏髙島屋ステーションモールに入っているテナントの部類が明らかに異なるため柏市中心部の柏駅との共存は図れており、また流山市単体として考えると、流山市はかつてよりコンパクトシティとしてのポテンシャルを持っており、現在に至ってはコンパクトシティとして知られる富山市よりもコンパクトなまちであるため、発展できたと考察できた。

 

17 神戸市の人口減少要因・対策についての考察
  佐藤崇一郎(芝浦工業大学柏高等学校) 

(発表要旨)神戸市では人口減少が続いている。先行研究や神戸市によると西宮市への人口転出の要因を決定できていない。本研究では、人口減少の要因と対策を考察した。市の統計を用いて区ごとに人口動態分析やコーホート分析、年齢ごとに転出先の分析を行った結果、全区で自然減、北区・須磨区・垂水区・西区では社会減となっており、中央区・灘区以外で人口が減少していた。また、主に子育て世代と乳幼児が東部では西宮市、西部では明石市などの近隣市へ多く転出していた。子育て世代の転出を防ぐと社会減に加えて自然減も軽減できると考え、国勢調査や各市のデータを用いて、子育て・教育・買い物・地価・治安・アクセス・税金の観点で比較し、要因分析を行った結果、明石市は子育て支援政策が充実していること、西宮市は文教住宅都市として教育・文化施設が充実していることが転出の主要因であると結論づけた。神戸市には明石市や西宮市と同水準以上の政策が求められる。

 

18 自分の街にあった地域活性化を探す~あなたの街は魅力を活かせていますか~
  中村和花(芝浦工業大学柏高等学校) 

(発表要旨)自分の住む船橋市で、テレワークの促進により交通の便が良いという理由以外に地域の魅力を探す。住民にアンケートを取り、先行研究を読み「活性化」の方法を分類し、船橋市にあてはめた。その結果、ベッドタウンである船橋市法田行田地区の住民は家族世帯が多く、買い物ができる・交通機関の発達・街の雰囲気・商店街の賑わいのある地域を理想像としている。他にも土地が安価であることも居住地決定要因になることがわかった。「活性化」は「既存産業を生かした活性化」「既存のものを生かし新規産業を取り入れる活性化」「観光地を用いた活生化」「地域の人のニーズを取り込み流出を抑える活生化」に分類できた。そのため家族世帯が楽しめるようなイベントと場所の形成を提案する。街の賑わいを得つつ今の住民にとって住みやすい街にするために、都内に通勤する朝が忙しい人を対象として、近所の高齢者の方々が中心となって軽食を販売することを提案する。

 

19 自治会の運営と継承に関する意識調査~文京区「柳町三和会」を対象として~
  吉村心玖(山脇学園高等学校) 

(発表要旨)日本では少子化が問題視されている中、東京都文京区では、2010年〜2023年の間で年少人口が1.7倍に増加した。しかし、2035年からは年少人口が減少に転じると予想されている。少子化に伴い、自治会や町内会などの地域コミュニティは担い手不足による機能低下が顕著である。コミュニティの希薄化は生活環境や地域防災力の低下にも関わる問題である。先行研究より、コア層が周辺層を巻き込む力を持つことが地域の担い手を増加させる方法であると考えられている。文京区小石川一丁目、西片一丁目によって構成される自治会「柳町三和会」では、100年以上活動が続いている。「柳町三和会」がどのように地域住民の関心を高めるために活動を広げてきたかを明らかにすることで、今後の地域コミュニティのあるべき姿を考察する。調査では、「柳町三和会」の運営を担っている人と、担っていない人に分類してインタビューを行い、それぞれの自治会に対する意識の違いを調査する。

 

20 GISを用いた東京湾岸の埋立地地盤の比較
  大林愛佳・坂下茉央・松山知聖(お茶の水女子大学附属高等学校) 

(発表要旨)埋立地は一般的に地震による液状化の影響を受けやすいと言われている。しかし、必ずしも埋立地が一様に災害に弱いわけではない。本研究では、東京湾岸の埋立地地盤の特徴を調査し、防災に活かすことを目的とする 。先行研究より、埋立地の強度に影響を与える主な要因としては、埋立時期や元々の地盤などが影響することが分かった。そこで、GISの手法を用いて、埋立地の造成時期や材料を示した地図(遠藤2004)に東京の液状化予測図を重ね合わせ、場所ごとの強さを比較した。その結果、大まかには海側の新しい埋立地ほど地盤が弱く、内陸の古い埋立地ほど地盤が強い傾向が見られた。また、元々の地盤に砂礫が多く含まれる埋立地ほど強い傾向も見られた。これ以外にも強度には工法など様々な要因が関わっているが、まずは埋立地と一括りにせず、場所による地盤の特性の違いを、避難や防災関連施設の立地などを検討する際にもっと活かしていくべきであると考える。

 

21 都市近郊地域におけるコロナ前後の外国系店舗の立地変化―行徳駅周辺を事例として―
  北澤一真(青山学院高等部) 

(発表要旨)本研究は、新型コロナウイルスによって外国人が多く住む都市近郊地域の景観にどのような変化が見られたのか、外国系店舗の立地変化に着目して明らかにした。事例地域として、外国人の人口割合が高い行徳駅前を取り上げた。コロナ前の店舗立地は2019年5月のグーグル・ストリートビューを使用し、コロナ後の2023年は徒歩で調査した。その結果、コロナ前に経営していた店舗のほとんどが現在に至るまで存続し、更に外国系レストランが数店舗開業していた。また、コロナ後に開業した店舗はコロナ前から外国系店舗が集中しているエリアに店を構えていた。行徳駅周辺の外国系店舗は飲食店や食料品店など、そこに住む人々が日常的に利用する商品やサービスを提供する店舗が多い。住宅が卓越する都市近郊地域であるため、コロナ禍であっても地域住民が日常的にこれらの店舗を利用することから、景観には大きな変化が見られなかったと考えられる。

 

22 保育園の立地と水害リスク 〜江戸川区と品川区の比較を通して〜
  川田未羽・松島美月(品川女子学院)

(発表要旨)災害時に補助を要する人が集まる施設のうち、これまで高齢者福祉施設を対象とした研究は行われているが、児童福祉施設についての研究はなく、メディアでも取り上げられることが少ない。新生児から未就学児までの幅広い年齢の子供が長時間滞在することによる対策の難しさから保育園を対象とし、行政区ごとに比較し、地域によって異なる対策の差を明らかにすることで、保育園における水害対策の問題点を探る。そこで、品川区と水害リスクの高い地域の多い江戸川区では、ハザードマップで同じ浸水レベルに立地する保育園では水害に対する意識に差があるのではないかという仮説を立てた。ハード面、ソフト面の両方に注目し、現地でのフィールドワークやアンケートを行い、点数化評価を実施した。その結果、ハード面では品川区が優位にあるものの、備蓄や外部との連携に関しては江戸川区が優位性が明らかとなった。そこで、今後どのような対策が必要かを検討した。

 

23 高校生によるサステナブルな旅行の企画 〜ニセコ高校・品川女子学院の合同授業を通して〜
  河尻綾音・大竹涼葉・佐藤愛花・鈴木葵葉・丸山莉奈・渡邉桃花・粟村花菜・斎藤奈月・島優花・東口杏里・吉田莉乃音(品川女子学院)、安齋草一郎・大友優空・田中美月・中鉢和・長谷川凜・松本叶・工藤浪子・佐藤優香・中島桜・布谷日向子・吉田小夏・(ニセコ高校)

(発表要旨)地元資本と外資が乱立し、観光地としての地位を確立しているニセコ町において、サステナブルな旅行企画を考案する。新たな旅行企画の立案を求めていたニセコ町・ニセコ高校と、遠隔地交流の機会を求めていた品川女子学院が合同授業を実施した。ニセコ高校と品川女子学院をオンラインで接続し、ニセコが抱えている課題や、マーケティング戦略について学んだ。ニセコならではの魅力や独自性を生かすことのできるようディスカッションを繰り返し、ウインタースポーツに頼らず、植林やロス食ラリーを通じて地域と旅行者・旅行者同士でのコミュニケーション機会向上を図り、「ありのままのニセコでくつろぐ」ための旅行商品を企画した。ニセコでのフィールドワークを通じて、プランの実現可能性や改良案を考えた。

 

24 江戸東京野菜「大蔵大根」今昔
  長谷川愛莉・西澤有咲・竹内ひな子・橋本莉奈(駒澤大学高等学校) 

(発表要旨)東京には農業の歴史文化を伝える伝統野菜がいくつか存在する。特に世田谷区は,江戸時代も現在も農業が盛んな土地である。2023年現在,同じ農業協同組合が管轄する目黒区にはおよそ20軒の農家があるのに対し,世田谷区における農家の数はおよそ300軒である。世田谷区の地形は低地と台地に大きく二つに分かれる。本来この二つの地域は地質が異なり,栽培する作物が異なるはずである。私たちは世田谷区目黒農業協同組合に聞き取り調査を行ったところ,現在は水道設備などの技術も発達し,世田谷区では農家単位で販売店舗に出店するケースが多いため,台地・低地どちらでも作物に違いはなく,少量多品目の栽培が主となっていることが分かった。そこで江戸近郊農業の時代より栽培が続く大蔵大根を栽培する農家を訪問し,江戸時代からの営農形態の変化について考察した。

 

25 観光地化による商店街の未来予想図
  吉本圭太郎・酒井柊・岡村健太・谷結愛・田上丈・引野岬・氏家和音(駒澤大学高等学校) 

(発表要旨)現在の商店街は地域の高齢化や人口減少により衰退傾向にある場所が多い(地域経済産業グループ 中小企業庁 令和2年報告)。そのため私たちは商店街の現状について調査した。 住宅街が多く人口が23区で1番多い東京都世田谷区を調査地域とした。まず世田谷区祖師ヶ谷大蔵駅にあるウルトラマン商店街へ行き,過去から現在で客層や街の雰囲気の変化について聞き取り調査をした。この商店街では近年,高齢者に加え,家族連れなどの数も増えていることが分かった。また,特に最近若い客層が増えてきたという意見もあった。ウルトラマン商店街は高齢化の波を受けつつも商店街自体をウルトラマンとコラボレーションさせた。観光地とすることで訪れる人が増え,その魅力に気づいた子育て世代が移り住んだと考えられる。さらに世田谷区の松陰神社商店街など他の商店街を比較対象とし,商店街の活性化と地域の変化の結びつきについて考察したい。

 

26 ポツンとコンビニエンスストア〜立地の歴史を辿る〜
  原崎理嗣・髙倉瑞輝・上間琉太・小出基貴・堀岡滉世(駒澤大学高等学校) 

(発表要旨)コンビニエンスストア(以下コンビニ)の立地戦略について,1つの地域に集中して出店する「ドミナント方式」が有効であると言われている(杉山2015)。一方で,これらの法則性から離れる立地をしている店舗には地域特有の要因が存在するとも考えられる。そこで私たちは世田谷区にあるセブンイレブン,ローソン,ファミリーマート,まいばすけっとの4社の店舗分布を地理院地図で表示し,分布特性を調べた。また,学校近辺のセブンイレブンで聞き取り調査を行った。これらの調査から,ドミナント方式は県道,駅周辺で利用されていることや,コンビニが作られる理由として土地の管理が不可能になったことで空き地となるケースが多くあることがわかった。さらに私たちは分布の規則性と異なる立地であると考えられる孤立店舗を抽出し,コンビニ立地に関する地理的要因の有無を調査した。具体的には店舗をその場所に展開した理由や収益性について聞き取り,考察した。

 

27 三軒茶屋栄通り商店街のゴミ状況の現状と改善方法〜受け取り方の違い〜
  太川夏葵・田中陽菜(東京学芸大学附属高等学校)

(発表要旨)私たちの通学路である三軒茶屋の栄通り商店街は、ゴミがカラスに荒らされて景観を損なっている現状がある。これを改善したいと考え、本探究を始めた。調査方法は二つあり、まず、栄通り商店街のゴミの出し方について観点を設けて観察と現状分析を行った。その結果、現在の商店街では何も対策をせずにゴミ袋のまま出されているゴミが49.3%にも及ぶことが分かった。次に、世田谷区役所や商店街連合会および商店街で働いている方々へインタビューを行い、行政や商店の方々の視点からの意見を伺った。すると私たちはゴミの出し方に改善が必要だと感じていたが、清掃事務所や商店街の方々は問題がないと結論づけており、二者間の認識に差異があることが明らかになった。このことから、地域住民と、働いている人の認識の差異を無くすためには、商店街を使う全ての人たちが一緒に清掃できる活動を設けることが、有効な対策だと考えた。

 

28 沼津市における『ラブライブ!サンシャイン‼︎』がもたらした観光効果と発展
  櫻井謙(東京学芸大学附属高等学校)

(発表要旨)沼津市が舞台となっているアニメ『ラブライブ!サンシャイン‼︎』が、地域にもたらした観光効果および発展について調べ、まちを盛り上げる「ラブライブ!」の聖地巡礼のイベントを企画した。データを集めるために沼津市役所観光戦略課へのインタビュー、及び沼津市内でのアンケートと聞き取り調査を実施した。その結果、沼津市の目指している聖地巡礼の形である「また沼津に来たいと思ってもらえる」や聖地巡礼者が市内のどのようなところを訪れているのか、沼津に近い関東や東海道新幹線沿いからきている人が多いこと、20〜40代の人が多く来ていることなどがわかった。これらの結果から沼津市の学芸員と街歩きスタンプの置いてある歴史的名所やゆかりのある飲食店を巡る「街歩きスタンプツアー」と沼津市民の人と「ラブライブ!」のファン合同で市内や海岸の清掃を行う「沼津市内ラブライバー清掃」の二つの企画を考えた。

 

29 高尾山のムササビを守るために 〜分布調査とGIS分析から考察する未来の森林〜
  松本 敬(中央大学附属高等学校) 

(発表要旨)東京都の高尾山には準絶滅危惧種のムササビが生息するが、生息区域の報告はこれまでなかった。本研究では13年にわたる現地調査でそれを明らかにし、調査データをもとにGIS分析を行いムササビの環境選択を検証した。 分析ではまず、生息区域に植生図をオーバーレイした結果、シキミ−モミ群集とほぼ一致することが分かった。次に森林計画図を重ねると、林齢の高い区域と合致した。さらにムササビは自然林に多いが人工林にも分布し、中でもヒノキ林よりスギ林を、複層林よりも単層林を好む傾向があることが分かった。これらにより、年間を通じて餌となる複数の樹種が存在し、特有の習性である滑空に適した空間のある森を好んで生息することが分かった。 以上の考察から示されるのは、多様な餌資源を有する成熟した森を好むムササビの生態だ。その環境選択を指標として生かすことで、森林が本来持つ多様な機能を持続させる森林計画の策定につながると考える。

 

30 残堀川と立川断層
  秋野一樹・土井郁子・百瀬ことみ(東京都立立川高等学校) 

(発表要旨)残堀川は狭山池を源泉とし立川段丘面上を流れる川であり、上流部は立川断層に沿って流れている。角田(1982)によると残堀川の下流部は立川断層を外れ、何度も変更されている。しかしかつては立川断層に沿って流れていたとされ、興味を持った。立川断層はテフラを用いた山崎(1978)の研究により、活断層であると推定されている。本研究では残堀川の流路変遷を調査し、旧残堀川が立川断層に沿って流れていたのか探る。結果、文献調査から江戸時代以降の残堀川の流路の変更は、おおむね利水や治水などを目的に人為的に変えられたものであることや、旧流路の下流部では豪雨の際に洪水が発生したことが分かった。また、フィールドワークや3D地図により、旧流路跡、立川断層の撓曲崖や断層崖下に窪地が認められたことから旧残堀川は立川断層に沿って流れていた可能性が考えられる。

 

31 SDGsから考える次世代に繋ぐ伊江島沖縄戦
  山下さくら・宮田和奏・根本綺乃(桐蔭学園高等学校)

(発表要旨)沖縄の伊江島に修学旅行で訪れ、沖縄戦を伝承する民謡「月桃」に深く感銘を受けた。修学旅行の学びをさらに深めるために私たちは沖縄プロジェクトを立ち上げた。RESASやjSTAT MAPで統計データを分析し、187名を対象にArcGIS Survey123で修学旅行に関するアンケート調査を実施して、沖縄×観光×SDGsに関する研究を行った。沖縄戦の伝承者が年々、減少する中、NHKや専門家がデジタルアーカイブとして貴重な資料を後世に残す取り組みを行っている。東京大学の渡邉英徳教授が提唱する「記憶の解凍」やデジタルアーカイブ、そして、私たちの体験をSNSで共有・発信しながら、学びのネットワークを広げることが高校生にできる支援の一つだと考えている。地域に根ざした循環型の観光ビジネスモデル、サステナブルツーリズムの普及が地域の雇用、教育、まちづくりの再生・発展につながるので、滞在型学習(民泊)を通して学んだ沖縄の魅力を次世代に繋ぐためにSDGsアクションプランを考案した。

 

32 ドブ板商店街におけるアメリカナイズ~スカジャンとバーガーからみる横須賀観光への効果
  柏木優人・春間茜里・中村駿之介・壷内海大・滝内大智(公文国際学園高等部)

(発表要旨)私たちは横須賀にある商店街、「ドブ板通り」におけるアメリカナイズ、そしてその横須賀観光への効果について調査した。この調査ではアメリカナイズをアメリカ風、アメリカ的という意味で定義し、その定義の中身を再構築した。戦後、米海軍が横須賀に駐留する際にドブ板通りが発展した。ドブ板通りを代表するものに「スカジャン」と「ネイビーバーガー」がよくあげられる。そのスカジャンは「日本の刺繍技術を元にアメリカ軍兵士のお土産向けに発展したもの」、ネイビーバーガーは「アメリカ文化を日本人向けにした紹介したもの」という対称的な背景を持っているが、二つとも現在は観光名産品的な要素が強くなってきている。それらがアメリカナイズされたドブ板通りとともに横須賀観光における経済効果を生み出しているという仮説を立て、アメリカナイズの実態と観光客の意識調査などの実地調査を行い、仮説の検証、横須賀の観光への効果を考察した。

 

33 横須賀の谷戸における避難経路について
  雨宮愛奈・扇彩乃・加瀬晴香・中村絢音(公文国際学園高等部)

(発表要旨)私たちは学校の探究学習で、横須賀市について現地調査した。南海トラフ地震や首都直下型地震が発生した際、谷戸地形や活断層の見られる横須賀市では土砂災害と津波が両方起こる可能性がある。特に、中心市街地から程近い汐入2丁目の谷戸地域は空き家率が高く、調査の結果、管理が行き届いていない家が目視で89件中22件あった。また、この地域は土砂災害特別警戒区域に指定されており、土砂崩れのリスクも非常に高い地域である。また、谷戸の住民の3割以上が65歳以上であるため、坂が多く道が狭いこの地区で、高齢者が安全に避難できる方法を検討した。具体的には、土砂災害・津波ハザードマップや地盤強度についての定量的なデータによる分析に加え、現地調査によって住民の意識についても調査を行った。以上より、空き家の倒壊の危険性が高いことを観点にいれた上で、土砂災害と津波の両災害を考慮した避難経路を考えた。

 

34 「逆川」の研究
  野田貴子(岐阜県立岐阜高等学校)

(発表要旨)岐阜県南部の木曽川と長良川に挟まれた羽島市には、「逆川」という不思議な名を持つ川がある。文字通り周囲の河川とは逆方向に流れる川である。その名に興味を持ち調査したところ、水と真剣に向き合って生きた先人たちの姿が見えてきた。木曽川から分流していた逆川は、江戸時代の宝暦治水によって上流が締め切られた。その後も村々では組織を作り、繰り返し洪水対策を行ったことが文献に記されている。現地調査によって逆川分流地点の流路の後や自然堤防を確かめ、地理院地図を使って流路の僅かな傾きも確認した。濃尾平野は南西に傾いていた。更に昭和の時代に整備された排水機場を確かめたが、これによって洪水の心配が無くなり、逆川水系の堤防は削られ、道路が整備された。聞き取り調査では、この堤防を実際に見た世代から証言を得ることができた。地域の安全と住民の生活を守ってきた先人たちの姿を私たちが記録し、次世代へと伝えていく必要がある。

 

35 大津の景観形成における大津築城の意義
  山崎敬幸(滋賀県立膳所高等学校)

(発表要旨)現在、老朽化のため大津市役所本庁舎の移転が計画されている。私はこれを契機として自分が住む町の成り立ちを調べようと思った。この研究の目的は、大津の景観形成における天正年間の大津築城の意義を明らかにすることだ。そのため、『近江輿地志略』や『園城寺文書』など文献調査をおこなった。 中世の大津は河川によって二つの街区に分かれていたが、その丁度中間の地点に築城がなされ、河川が付け替えられたことで街区が一つに統合された。さらに築城にともなう坂本や堅田などからの移民によって町が東方に拡大した。加えて、造成された水堀はその後、舟入型の荷揚場に転用され、琵琶湖水上交通における大津の立場を向上させ、物流商業を支える重要インフラとなった。 これらのことから大津築城はその後の町のあり方を規定し、現在の大津の景観の土台を作ったと評価できる。今後は東海道や北国街道と大津城のかかわりから大津の成り立ちを探っていきたい。

 

36 寺院消滅を食い止めろ!~京都らしさを守るために~
  堀部直樹・三品圭・種田健人(京都教育大学附属高校)

(発表要旨)京都のお寺は、観光客による参拝料などを主な収入をしている観光寺だけでなく、葬儀や法事のお布施を主な収入源としている寺院(檀家寺)も多い。 本研究ではコロナ禍における、京都の寺院への影響を明らかにするため、文献調査、フィールドワーク、檀家寺での聞き取り調査を行った。その結果、観光寺では参拝客が減ったことが主な収入の減少につながり、檀家寺では葬儀の規模縮小などが見られるようになった。また通常の法事が延期や中止となることもあり、お盆や彼岸に行う大法要への参加者も減り、棚経も行わないなど、檀家寺の収入は激減したことがわかった。檀家寺は基本的に他から収入を得る機会が少なく、檀家の数も減少傾向にあるため、収入が減ることはその寺院が消滅することに直結する。コロナの影響が減ってきた今、檀家寺の収入はコロナ以前に戻る可能性は低く、京都らしい景観を守る檀家寺が消滅する危機を食い止めなければならない。

 

37 清水寺が名所であり続けるために ー持続可能な災害対策ー
  下村慎・栁田響己・吉本嶺(京都教育大学附属高校)

(発表要旨)778年に開創された「清水寺」は、年間500万人以上の観光客が訪れる京都が世界に誇る観光地である。このような観光地は世界各地にあるが、近年様々な災害の影響を受けている。2019年には、沖縄県の首里城で火災が発生し、フランスでもノートルダム大聖堂が火災で失われている。京都盆地には、さまざまな断層があり、清水寺のような木造建築の名所も多い。そこで、今後も美しい清水寺が失われないために、災害のリスクを評価し、「持続可能な災害対策」を提案する。本研究では、文献調査、フィールドワーク、清水寺でのインタビュー調査を通じて、過去1,200年間に清水寺で発生した災害について整理した。その結果、火災、土砂災害などの災害が発生していることがわかった。清水寺が今後も名所である続けるためには、バリアフリー化の促進や近年増加している外国人観光客への対応も踏まえた災害対策が必要である。

 

38 災害と神社の関係~神々に大地の怒りは鎮められるのか~
  網代美優・富永駿・須賀悠斗・木津橙哉(京都府立桂高校)

(発表要旨)中央構造線上に有名な神社が並んでいることから、地震や洪水など人知ではどうすることもできない大地の怒りを鎮めるために、神社を建立したのではないかという仮説を立てた。同じことが活断層に囲まれ、三川が合流する京都でも言えるのか検証してみた。​研究方法としては、京都市域に地図記号として存在する神社を、断層上・洪水浸水想定区域内・その他に分類。断層上の主な神社の断面図を作成し、学校近くの松尾大社で断層の痕跡を探ってみた。さらに、京都の名水の位置を調べ活断層図と比較、多くは断層上の神社や寺院にあることから、御神水の存在も断層上に有名な神社が多い理由の一つではないかと考えた。また、洪水浸水想定区域内には有名な神社は一つもない。たび重なる洪水に悩まされてきた人々は少しでも安全な微高地に小さな神社を建立し、水から村々を守る役割を果たしてきたと考えられる。このように、自然現象が引き起こす災害が信仰の基盤の一つになると考えた。

 

39 歴史都市京都におけるまちづくり ー高さ制限に対する評価と今後の展望ー
  西村陽樹・松田大和・山邉佑真(洛南高等学校)

(発表要旨)2022年に京都市は土地利用の活性化を目指し、2007年より実施してきた建物の高さ制限を緩和する方針を明らかにした。本研究では、中学生、市役所、景観に関する取り組みを行う市民団体の3つの立場から高さ制限について複眼的に考察し、市の景観政策への評価を試みた。本校附属中学生に京都市の景観に関するアンケートを実施し、市と市民団体に聞き取り調査を行った。その結果、中学生は概ね景観の保全が都市価値の向上に繋がったといった肯定的な意見を持っており、市と市民団体も高さ制限に一定の評価をしていることがうかがえた。ただ、市民団体からは、大きな枠組みでの施策だけで地域ごとの景観を維持・発展させていくことは難しいという意見もあり、まちづくりにおける地域の理解や協力も重要であることがわかった。市が地域住民の主体性を尊重しながら今後のまちづくりを検討していくことで、住民が地域社会の一員として考えるきっかけにも繋がるはずである。

 

40 琵琶湖沿岸域における環境保全型農業の展開と課題ー「魚のゆりかご水田」を事例としてー
  西條匠(洛南高等学校)

(発表要旨)滋賀県で行われている魚のゆりかご水田プロジェクトは環境保全型農業の1つであるとともに、世界農業遺産に指定されている。本研究では、魚のゆりかご水田プロジェクトの現状を分析することで、今後の環境保全型農業を継続するための課題について明らかにすることを目的とする。調査は、滋賀県庁ならびに魚のゆりかご水田米を生産している農家へインタビューを実施した。その結果、県・農家ともに琵琶湖沿岸域の環境を保全したいという意向があるものの、両者が魚のゆりかご水田を進める目的は必ずしも一致しなかった。農家は魚のゆりかご水田米のブランド化を進めたい意向があり、加工品の販売など様々な取り組みを行っている一方、県は農業収入の増加より環境保全のためにこの農法を推進していることが明らかになった。これからも環境保全型農業を継続するためには、生産者に寄り添った制度づくりを行い、この農法を次世代に引き継いでいく必要がある。

 

41 フードデザート問題の現状と要因 ~京都市太秦地域の事例から~
  仙田悠悟(洛南高等学校)

(発表要旨)京都市の「都市計画マスタープラン」では、太秦地域が「スプロール的に開発された居住環境の改善を図る地域」に指定されている。太秦地域では、生鮮食品を販売する店へのアクセスが困難であり、高齢者などの買い物難民も多いことから、食生活の維持が困難になるフードデザートが発生していると仮定する。本研究では要因を調査するために、太秦地域を研究対象に、商店街組合やスーパーへの聞き取り調査を行った。その結果、高齢者の食、栄養への関心の低下や、道幅が狭いためにスーパーが出店しにくくなるなどの先行研究で指摘されている要因のほか、太秦地域においては人口減少等により、加盟店の減少などを余儀なくされていた。また、太秦映画村との結びつきが強いことから、映画産業が衰退すれば、商店街も連鎖的に衰退していった。このように太秦地域では、フードデザート問題に関する一般的要因と地域特有の要因とが混在していることが明らかになった。

 

42 神戸市ビジョン2025 の 達成:神戸市の企業の環境対策に関する量的研究-グリーンウオッシュの観点から考察する-
  稲岡慶一郎(神戸大学附属中等教育学校)

(発表要旨)近年企業へ環境負荷の少ない取り組みが求められているが,日本では環境対応をしているふりをするという意味のグリーンウオッシュを行う企業に対して対策は取られていない.そこで,まずグリーンウオッシュの企業はそうでない企業とどのような取り組みの差があるのかを解明した.その際に日経ブランド調査と ESG 総覧を利用した.その結果,環境への取組に穴があるのにも関わらず,広告を通じて消費者に環境活動を過剰に宣伝していることが要因であるという結果を得た. 次に,ESG 総覧の環境の項目を比較することで,神戸市の企業の環境活動の傾向を調査した.その結果,神戸市に本社を置く上場企業は水問題への対策や脱炭素対策が周りに比べ進んでいないことがわかった.特にこの2つは投資家に最も重視されている点であり今すぐに改善が必要である.また,神戸市が各企業に環境認定を現状のものからさらに厳格なものにする必要であるという提案を行った.

 

43 商店街の活性化とまちづくりの両立を目指して ―伊丹サンロード商店街を例に考える―
  上塚陽奈多(神戸大学附属中等教育学校)

(発表要旨)現在国は商店街の活性化と関連させたまちづくりを勧めているが、まちづくりが商店街の機能を低下させる恐れがあるという研究もあった。そこで商店街の活性化とまちづくりを両立させるために必要な要素を調査することにした。商店街の活性化事業とまちづくりに取り組む商店街として ViVa 伊丹サンロード商店街を研究対象として商店街振興組合の方にインタビューをし、成果と課題を調査した。その後、伊丹市と特徴が似ている市の商店街や商業施設で両立ができているところとして東京都三鷹区まちづくり三鷹と三重県桑名市寺町通り商店街の取り組みを調査し、伊丹サンロード商店街と比較した。その結果、ターゲットを絞る、運営の担い手を若手にシフトチェンジしていく、などの要素が伊丹サンロード商店街には必要であると考察した。そしてこれらの要素と伊丹市の特徴を考慮して商店街とまちづくりを両立させるための企画を提案した。

 

44 日本の中規模都市におけるスマートシティの導入に関する研究-実証実験におけるスマートシティ化の現状からー
  廣澤怜音(神戸大学附属中等教育学校)

(発表要旨)本研究では都市環境における問題改善策としての都市のスマートシティ化の実証例をもとに、日本の中小都市への導入可能性について研究した。スマートシティは広く世界中に普及したSDGsとも関連もあり、注目されるべき事例であるが、実装するにあたっては様々な課題がある。その課題と照らし合わせながら日本や海外で行われているスマートシティの実例について先行研究などを用いて整理した。そこから、最新の技術が必要不可欠であること、莫大な資金が必要であること、スマートシティ化された都市の住民にデータを提供してもらうことが重要であることが明らかとなった。このことからスマートシティ化は日本にも必要な手段の一つと考えられるが、企業や個人からの資金協力、理想としているスマートシティ開発が本当に環境に配慮されているのかなどを吟味した上で部分的に取り入れていくことが現実的で目的に沿っていると考察した。

 

45 屋外広告の空間的分布からみた加古川市周辺の道路特性の解明
  小林仁奈・松本こゆき・荻野凛太朗・鈴木太陽・廣瀬主門(兵庫県立加古川東高等学校)

(発表要旨)道路沿いに多くみられる屋外広告に関する研究はほとんどなされておらず、その実態はあまり知られていない。私たちは屋外広告物と事業所立地の空間的特徴に興味を持った。本研究では、屋外広告のうち事業所の敷地外に設置されている「独立広告」を研究対象として、屋外広告の特色や位置関係が、道路特性とどのように関係しているかについて解明することを目的としている。対象地域は加古川市内の主要幹線道路や補助的な生活道路とした。研究の結果、広告密度が主要幹線道路では小さいこと、事業所との距離は補助的な生活道路ほど小さいこと、事業所との距離が大きいと誘導機能を持つ広告割合は低くなることが明らかとなった。これは、加古川の主要幹線道路は、姫路から神戸を結ぶ東西道が中心であるため、上記の屋外広告の分布特徴は、そのような道路の特性が反映されていると考えられる。

 

46 表象としての富士山-富士山は本当は低い?-
  浅井照・髙井恵里奈・中村朱里(兵庫県立加古川東高等学校)

(発表要旨)富士山が綺麗だといわれる理由を考えた時、高くそびえ立っているイメージをもたれやすく、その結果威厳がある美しい印象となっているのではないかと考えた。そしてそのイメージは人の頭の中で誇張されているのではないか、という仮説を立てた。まず美術作品について、傾斜に関する計測をおこなった。次に本校生徒に何も見ずに富士山の絵を描いてもらい、方眼紙を用いて計測した。計測結果をクラスター分析で群分けし、本物や絵画作品と比較した。その結果、①美術作品、生徒の富士山ともに、実物より高く急傾斜である。つまり一般的に高く、急傾斜と認識されている、②特に生徒のものの方が急傾斜である、③生徒の描く富士山はクラスター分析により、3つの類型に分けられ、プリン型が2/3を占める、④生徒のものには、頂上に凹凸を入れるものもみられた、などが明らかとなった。

 

47 たつの市新宮町下野田地区・佐野地区の内水氾濫想定区域~QGISと1mメッシュ DEMを活用した内水氾濫ハザードマップの作製~
  吉村吏雲・河野明登・春名大輔・藪元悠吾(兵庫県立龍野高等学校)

(発表要旨)たつの市新宮町佐野地区・下野田地区は、揖保川と栗栖川に挟まれた地区で、1976年(昭和51年)の台風17号による洪水を契機に、堤防の整備と樋門の設置が行われた。その後、集中豪雨により河川の水位が上昇した時には樋門が閉められ、内水氾濫が発生している。洪水(外水氾濫)による浸水想定区域のハザードマップは、国土交通省や地方自治体によって作製されているが、内水氾濫による浸水想定区域のハザードマップは、大都市部以外ではあまり作製されていない。たつの市にもない。そこで、兵庫県が日本で初めて全県規模で公開した1mメッシュDEM(数値標高モデル)を、オープンソースGISのQGISで処理し、内水氾濫による浸水想定区域のハザードマップを作製した。最初は、水文解析が得意なSAGAを使用したが、平坦な地形ではうまくいかなかったので、QGISで段彩図を作製し、現地調査を行いながら、内水氾濫ハザードマップを作製した。

 

48 海洋ごみ問題の解決に向けたシチズンサイエンスによる挑戦 -ArcGISによる自作アプリを利用した実践-
  津和梨々乃・南那津子(山陽学園高等学校)

(発表要旨)瀬戸内海は海洋ごみや海洋プラスチックごみ問題が深刻化し、海洋汚染による生態系への影響が問題となっている。海洋ごみの約7割は生活圏が起因の生活ごみである。私たちが属す地歴部では14年前から回収と啓発活動に取り組んできた。しかし、海洋ごみは細分化し、回収が困難な状態となり、啓発イベントへは問題意識の高い市民の参加が目立つ現実から強い問題意識を持った。「ごみの廃棄者は全ての市民」という考えのもと、「1人の100歩ではなく100人の1歩」となる実践に向けて、生活に浸透したスマホで使用可能なアプリを制作し、ArcGISによるごみの位置情報や写真、種類や個数データを市民から送信してもらい、街中ごみの実態把握に努めた。データの考察から若い世代を中心にした取り組みが見られ、通勤・通学など普段の生活の中でごみの存在に気付き、解決への貢献意識の醸成につながるなど、問題を『自分事』として捉え、その後の行動変容に繋がる結果となった。

 

49 消防署からの到着時間と人口密度を可視化することで搬送時間の効率化は可能か〜鳥取市における救急車両の配置の提案〜
  小谷 綾(青翔開智高等学校)

(発表要旨)本研究では、鳥取市内の地域ごとの医療格差の解消を目指し、消防署からの到着時間と高齢者の人口密度をArcGISを用いて可視化することで、より適切な消防署の立地を検討するためのプロセスを提案した。まず、鳥取市内の全消防署(7箇所)から3分,4分,8分,22分で救急車が到達できる範囲をそれぞれArcGIS上で表示し、救急車の到着まで時間がかかる地域を洗い出した。次に、65歳以上の高齢者の人口密度を表示した地図を用意して重ね合わせた。これらを踏まえて、高齢者が多いにもかかわらず救急車の到着まで時間がかかる地域に、既存の消防署を移転した場合のシミュレーションを行った。今回は1箇所の移転について検討したが、他の消防署も含めて総合的に配置を再検討することで、立地の最適化につながると考える。また、移転先を検討する際には、用地の取得や周辺の道路事情などを考慮に入れる必要もあり、今後の課題である。

 

50 空飛ぶクルマの空間的特徴と課題の検討 ~空飛ぶクルマを利用した鳥取市の新しい観光の実現可能性の考察を事例として~
  山根京子・馬渕満葉子・広富愛奈・石倉理子(鳥取県立鳥取西高等学校)

(発表要旨)鳥取市における空飛ぶクルマを利用した観光事業の発案・分析を通して,空飛ぶクルマの利用による空間的特徴と課題を明らかにする。海外では飛行実験や米国連邦航空局の認証など開発が活発である。国土交通省は「空の移動革命に向けたロードマップ」に基づき,離着陸場,運航,事業制度等に関する制度整備を検討している。空飛ぶクルマは物資・旅客輸送や災害対応等多目的な利用が目論まれ,既存の交通手段に比べ移動の迅速性,汎用性といったメリットがある一方,騒音や景観破壊といったデメリットが挙げられる。 本研究では,空飛ぶクルマの新しい観光の実現可能性を事例として提起した上で,ドローンの飛行可能空域や人口密集地域といった制約や観光の発着までのアクセスに着目し,可能な観光プランを比較考察する。空間的に分析する地理学の強みを生かして空間的特徴と課題を検討することにより,本研究分野に新たな視点を加えることができると考えた。

 

51 県外生視点の『津和野百景図』 ~現地調査からガイド活動へ~
  阪本孝太朗・松本凛生(島根県立津和野高等学校)

(発表要旨)昨年、私達は日本遺産『津和野今昔〜百景図を歩く〜』の現状を発表し,「地元」で「同年代」の人が日本遺産について興味・関心がないことが課題だと報告した。百景図に描かれた「地元」をもっと知ること,「同年代」に伝えることを目的に,私達は今年度,①百景図に描かれている場所の現地調査,②津和野日本遺産センターで定期的に専門ガイドから百景図の知識とガイドの方法を学習、③ガイド活動の補助,④実際に津和野高校生に向けてガイド,などの実践を行った。結果として、津和野から離れた百景図に描かれた場所があまり知られていないこと,場所だけでなく津和野の歴史や行事、食なども分かることが知られていないこと,などでリピーターが生まれにくいことが分かった。今後は,大人にも同世代にもある「百景図」との物理的・心理的距離を埋めるため,まず,地元の津和野町に住む中高生に,場所と中身を身近に知ってもらう実践を積み重ねていきたい。

 

52 地図×データで命を守る vol.2 ~宮崎県五ヶ瀬町における台風14号被災状況のGISによる分析~
  児玉祐直・黒木海音・坂元最・中竹美優莉(宮崎県立五ヶ瀬中等教育学校)

(発表要旨)2022年秋季大会において,南海トラフ地震発生時の宮崎県内沿岸部における津波災害に関する報告を行ったが,まさにその最中に自分達が居住する五ヶ瀬町が,台風14号による土砂災害などの被害を受けたことから,これまでに培ったGISによる分析手法等を生かして,緊急的にわが町の台風被害に関する調査研究を行った。 役場から提供いただいた被災状況に関する一次資料(Word・写真)を,データ分析可能な形式へと変換し,GISの地図上で表示することで被災箇所の分布や空間的広がりを確認した。 その後「ハザードマップは土砂災害の被害を的確に想定していたのだろうか?」という問いを立て,被害想定区域と実際に被災した地点のデータを重ね合わせることで,想定外の被災地点も存在していたことを明らかにした。 今後はハザードマップが抱える課題について検討するとともに,役場とも協働しながら,被災状況を効率的に収集する仕組み作りを行いたい。