「なぜ地理の共通テストもブラタモリも天橋立を北から見たか?」

「なぜ地理の共通テストもブラタモリも天橋立を北から見たか?」

それは視点を変えることで気づく「別の風景」を大切にしたいからです。

 天橋立は,京都府北部の宮津湾において,北から南へ向かう沿岸流が砂を運び,海底に高まりをつくり,それが南へゆっくりと伸びてできた砂州です。橋の北側の高台に立って,股下から南の方を眺めると,あたかも天に向かって伸びていくかのような橋立に出会います。未来への明るい希望を重ねてきた,日本人の心を感じさせる風景です。まちの発展についても,砂州とともに北から南へと進んできたことを,タモリさんはしみじみと語ります。

 地理の共通テストは単に知識を問うのではなく,日本や世界の将来の社会を構築するための能力を培うことも意図されています。それが,「ブラタモリ」の番組の演出とも奇跡的にもシンクロしました。

 世界を多様な視点から眺めるには,視点の位置とその向きが重要です。たとえば,見慣れた日本海の地図も天地をひっくり返すと,違う世界が見えてきます。どうしたら,今まで気づかなかった風景を発見できるか,より遠くを見通せるようになるか。地理は野外を歩きながら,ブラタモリのように考えます。ブラタモリの番組を見て,地理のイメージを身近に感じてもらえるとありがたいと思います。こうした思いから,公益社団法人日本地理学会は2010年度に,NHK「ブラタモリ」制作チームに対して学会賞(団体貢献部門)を授与しています。

天橋立
北の高台から見た天橋立(2007年長谷川直子会員撮影)

(日本地理学会 地理教育専門委員会委員長 井田仁康・広報専門委員会委員長 須貝俊彦)