地理学評論編集専門委員会から

 「地理学評論」が隔月発行に移行して3年目,83巻(2010年)の掲載論文数は30編にまで回復し,26編にとどまった81巻(2008年)から投稿・掲載状況の改善が進んでいます.
 掲載論文を詳細に見ると,分野別では,自然地理関係10編,人文地理関係20編で,このところ低調であった自然地理関係の掲載論文数が増えました(この3年ほどは5~6編).論文種別では,論説が16編,総説3編,短報10編,資料1編でした.人文地理関係では論説・総説の割合が高いのに対して,自然地理関係では短報の比重が高いという傾向は変わりません(83巻では,その傾向がより強かったようです).また筆頭執筆者の年齢別では,1950年代生まれ1人,1960年代生まれ2人,1970年代生まれ12人,1980年代生まれ15人と,1970年代・80年代生まれの方の割合が圧倒的に高くなりました.中堅にあたる世代の割合が少ないことが気になります.
 新規投稿論文,受理論文が順調に増えてきたことから,昨年度末より,新規投稿論文については,閲読者からの意見の締切を投稿受付月の翌月中旬に変更しています.閲読者および担当編集委員の負担軽減もありますが,初回の審査により時間をかけ,十分かつ的確な評価ができるようにという趣旨からです.再投稿論文についても,十分な検討時間をとって担当編集委員が審査報告をつくれるよう,時間的な余裕を持つようにしました.投稿者への審査結果通知の送付は委員会から1週間程度を目処にしていますが,余裕がないまま審査に間に合わせても結果通知をまとめるまでに至らず,通知が遅くなることも少なくなかったという事情を踏まえた変更です.ご理解いただきたく存じます.
 若い研究者からの投稿が大部分ですので,研究論文としての枠組みが不十分なもの,興味ある内容をもちながら論文の意図が整理されていないものなども散見されます.このような場合,従来,再検討の方向の示唆や細部に立ち入った問題点の指摘など,時間をかけたやりとりで掲載されたものもありましたが,見込みが立たず掲載不可ということもまれではありませんでした.個々のケースで状況は異なりますが,問題を抱える論文については,初回の審査で掲載不可として通知するような対応も増やしています.その場合,示唆に富む閲読者のご意見はなるべく活かし,投稿者の方にも役立てていただけるよう,編集専門委員会としても対処するようにしています.
 「地理学評論」は会員の皆さまからの投稿に支えられています.今後とも,論文,書評を積極的に投稿していただけますよう,お願いいたします.
 最後に2009年10月~2010年9月に閲読者としてご協力いただいた方々(非会員および今期編集専門委員となられている方を除く)を五十音順に列記し,お礼に代えさせていただきます.

青山宏夫,淺野敏久,飯島慈裕,飯嶋曜子,石川利治,石﨑研二,磯谷達宏,伊藤貴啓,井上 孝,岩崎亘典,岩間英夫,内田忠賢,梅田克樹,卜部勝彦,江口誠一,大内俊二,大城直樹,大竹伸郎,小口千明(筑波大),小田宏信,小野寺 淳(横浜市大),恩田裕一,影山穂波,片岡義晴,片柳 勉,菅野洋光,菊地隆男,菊地俊夫,熊木洋太,合田昭二,境田清隆,佐々木 緑,佐藤大祐,佐藤尚毅,澤口晋一,澤田結基,篠田雅人,鈴木正章,関根智子,高木彰彦,高田将志,高橋伸幸,谷 謙二,田原裕子,千葉昭彦,月原敏博,筒井一伸,豊島正幸,中川秀一,中澤高志,中島弘二,西村雄一郎,西山賢一,長谷川裕彦,埴淵知哉,林 琢也,春山成子,半澤誠司,平井幸弘,平岡昭利,藤井 正,藤田佳久,藤部文昭,松井圭介,松原 宏,松村祝男,松村嘉久,水野 勲,水野恵司,美谷 薫,宮内久光,宮澤 仁,村山朝子,山神達也,山川充夫,横山 智,吉永秀一郎,吉山 昭