(24)地理学的地すべり論研究グループ - 日本地理学会

代表者 松四 雄騎

地理学的地すべり論研究グループでは、各種の斜面変動によって引き起こされた災害について発災地の調査や巡検を行い、現象の地理的・地質的側面について検討してきた。本年度は社会状況の変化のため、研究グループ参加者が集っての巡検等は実施できなかったが、2018年7月の豪雨で岩盤崩壊の多発した四国宇和島や2018年9月の胆振東部地震で発災した北海道厚真町について個別調査を進めた。本グループでの過去数年間の活動を通して、斜面現象の素因となるその場の地理・地質特性の成立過程に関する知識の普及と防災リテラシーの獲得による地域レジリエンスの向上が、地理学的地すべり論の研究によって得られる知見の社会還元の方向性として重要であることが再認識された。学際的な参加者を募っての現地調査や討論会の実施が困難と見込まれる今後、一旦、本グループの活動は停止することとした。再始動の暁には、地すべり災害における時空間スケールの異なる地理的要因を整理し、斜面システムの統合的な理解に基づいて起きうる現象を想定できるよう、より多くの具体的なケーススタディーを通じて一般化を進め、最終的には、地理的な知見に立脚した社会実装可能な方策の提案により、地域減災への貢献を目指したい。