(1)近代日本の地域形成研究グループ - 日本地理学会

                                          代表者  天野 宏司

2020年度は次の日程で活動を行った。

[第1回集会]2020年6月13日(土)14時~16時45分、於 Zoom会議、参加者約8名。

三宅彦大(筑波大・院):「福井県若狭地方における戦前期同郷会の活動と地域振興論―小浜港湾修築運動を中心に―」

本報告では、福井県若狭地方出身者によって結成され、大正・昭和初期に活動した同郷会である雲城会の活動と地域振興論の検討を行う。はじめに、旧小浜藩関係者による雲城会の結成過程を明らかにした後、結成後の活動実態について概観する。つぎに、大正期の小浜線開通前後・若狭地方の観光地化および昭和初期の小浜港湾修築運動において、機関誌『雲城』誌面で論じられた同郷会員たちの地域振興論について考察する。今回とくに注目したいのは、小浜港湾修築運動の展開である。その運動の過程では、「裏日本」化する地元地域の振興策として、北鮮・満洲という日本海対岸地域に会員のまなざしが向けられた。

同郷会史料についての以上の分析から、若狭地方関係者の地域認識と彼らの地域的課題を解決しようとする主体性を読み取ることができる。またこの点は、「裏日本」としての若狭地方と対岸地域の関係について、示唆するものでもある。そこで、戦前から戦後の日本海をめぐる国際情勢の変化にともなった、敦賀をはじめとする若狭湾の港湾都市の変容について、検討することを今後の課題にしたいと考えている。
ビジネス・ミーティング:2020年度の活動について