(20)ジェンダーと空間/場所研究グループ - 日本地理学会

代表者  影山 穂波

1) 研究会の開催
[秋季学術大会]2018年9月23日(土)15時〜17時、於 和歌山大学。
太田麻希子 (立教大):「マニラのスクオッター居住区における「高学歴」女性労働者と道徳的ジェンダー規範」
本報告では、マニラのビジネス・プロセス・アウトソーシング産業や海外出稼ぎ産業といった外貨獲得産業の成長に伴い、労働市場と空間構造の変化が貧困層の居住地とされるスクオッター居住区とその住民にもたらす影響について明らかにしようとする試みがなされた。スクオッター居住区の研究からは、経済成長と新自由主義的な都市政策・貧困対策による住民間の差異と分断の強化が伺える。しかし、女性の高学歴化・就業拡大の影響は精査されていない。本研究はスクオッター居住区に住む相対的に学歴の高い女性就業者19名に2015年~2018年に断続的に行われた調査をもとに論じられた。回答者の特徴として、①肉体労働者の父と主婦や小自営業主の母、②親族の援助・奨学金・自助努力等のさまざまな工夫による就学、③通信・医療・教育産業への従事と相対的に高い収入による家族・親族への経済貢献、④教育など自己投資への関心などが挙げられた。そのうえで、結婚や家族に関する道徳的規範が住民間の差異と分断の境界になっている可能性、一部女性の経済力上昇による支配的規範への対抗可能性が検討課題としてまとめられた。
吉田容子(奈良女子大):IGCカンファレンス参加報告
本発表では2018年8月4日から6日までのモントリオール大学でのフェミニスト地理学のプレカンファレンスと6日から10日にケベックで行われたIGC本大会でのジェンダー関連発表についての動向が報告された。
研究会ではグループメンバーを中心に、参加者とともに活発な議論がなされた。
2) 2019年度にシンポジウムを行うことを目的にメール会議を進めている。またホームページを通じて活動内容を掲載し、情報発信に努めた。


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