2021年秋季学術大会 高校生ポスターセッション(オンライン)発表タイトルおよび要旨

発表番号,「発表タイトル」,発表者(学校名),発表要旨
(発表者中の下線は筆頭発表者)

01,「GISを用いた鶴岡市周辺の交通空白域の分析」
  野澤 賢史(鶴岡南高校)
(発表要旨)
 山形県の世帯当たり自動車保有数は平均2台以上であり、移動手段の自家用車への依存度が大きく、鶴岡市とその周辺も例外ではない。車を運転できない住民にとっては公共交通が重要な移動手段となるが、利便性の低い場所に住む住民もいる。
 この研究では、バスと鉄道の空白域をGISを用いて可視化し、空白域にあたる地域で行われているデマンド交通などの取り組み、また他の地域で導入されている交通システムの特徴や課題を調査し、鶴岡市や周辺ではどのような交通の形態をとればより持続可能になり、交通難民が少なくなるのかについて考察した。
 結果、山間部だけではなく平野の小規模な集落なども交通の空白域に入っているとわかった。山間部ではデマンドタクシーの導入などの取り組みも進んでいるが、平野部の空白は現状では解消されていない。地域の特性に合わせ、デマンド交通などの交通システムの活用の推進によって交通を維持していくことが必要と考えた。

02,「ローカル線の廃線から学ぶ過疎化と交通インフラ」
  海野 敦也(延岡青朋高等学校 通信制)
(発表要旨)
 研究の目的:ローカル線の廃止は、沿線地域にどのような影響を与えるかを考察する。
 調査対象:高千穂鉄道の沿線地域や関連企業
 データ:民鉄主要統計『年鑑日本の鉄道』1992年-2007年,延岡市統計書 平成30年度版,宮崎県統計課「宮崎県の推定人口」
 調査方法:現地ヒヤリング調査,行政機関
 調査結果:九州内の赤字83線の存続率は27.3%と低い。廃線までは、通学などの地域の潜在需要にも応えていた。廃線後の交通インフラはバスに置き換わったが、バスの利用者も減少し、沿線地域の人口減少、人口流出による高齢化の進行が加速した。廃線後の沿線人口減少や高齢化は地域輸送の需要を減少させた。
 考 察:モータリゼーションの進行により生活が車中心に変わり道路網も整備された中、公共交通機関としてのローカル線の存続は難しい。持続可能な中山間地域形成のため、社会資本としてのローカル線の重要性や価値を再発見し、地域経済活性化に寄与する地域資源として活用する必要がある。

03,「通学路における災害リスクと高校生の防災に対する意識」
  岩槻 葵・佐々部 倖乃・下村 美喜・髙橋 玲唯・三木 梨瑚(桐光学園高等学校)
(発表要旨)
 近年、自然災害の危険なニュースが多く、通学路は安全なのか、どのような備えをしているのかということが気になった。そこで、国土交通省が運営している「ハザードマップポータルサイト」を使用し、通学路のハザードマップを確認したところ、通学路に土砂災害警戒区域があることがわかった。
 本研究では、土砂災害警戒区域に指定されている箇所をフィールドワークを通じて確認し、それに対する対策を調べた。さらに、災害が起きる前にハザードマップを確認し、すぐに行動できるようにしておくことで、被害をなくすことができると考えたため、学校周辺のハザードマップを見たことがあるか等、ハザードマップの認知度や高校生の防災意識の現状をアンケートから調べた。これらの調査を踏まえ、より安全な学校生活を送ることができるような方策を検討した。

04,「鳥取城下町の町人地跡の残存に関する町割りと道路に着目した時空間分析」
  石倉 理子(鳥取県立鳥取西高等学校)
(発表要旨)
 鳥取市の若桜街道などの街道沿いは市の中心商店街に発展し、町人地の街路は地域住民の生活の場であった。しかし、車社会化の到来とともに主要街道は商業機能と交通路として市民や観光客に利用された一方、町人地の街路はその性格を地震や火災の経験とともに失った。本研究では、現在残されている町人地痕跡を町割りと道路に注目して、残存率を分析する。研究方法として、古地図アプリの地図情報から、町人地の名残りのある建物を抽出する時間的分析と、住宅地図で土地利用を分類する空間的分析を行う。結果、各町丁に性格や特徴を示す残存する、または復元されたランドマークや職種の残痕がみられ、土地利用から町人地の職業属性に関係する痕跡があった。後継者不足により町人地の痕跡は今後も希薄となることが予見されるなど、市民や観光客に城下町の町割りがより一層意識されにくくなるといった課題が明確となった

05,「立地から分かる親水公園の隠れた役割とは」
  福元 大輝(筑波大学附属高等学校)
(発表要旨)
 私にとって身近な地域である東京都葛飾区は洪水などの自然災害に長年悩まされてきた過去があり、水との関わりも深い。かつて区内には多くの農業用水路があったが、現在はその多くが暗渠化され、一部のみが親水公園として区民の憩いの場になっている。
 初めに、親水公園になった用水路とならなかった用水路の違いを探す。その上で、両者を「交通・防災・環境」等の観点から評価し、親水公園の立地特性を明らかにすることが目的である。対象は葛飾区内の主な3つの親水公園とする。
 1986~87年の水路図と現在の親水公園の位置を重ねてみると、暗渠化されずに1987年まで残りつづけていた用水路が親水公園へと変わったということが分かった。また、区発行の資料『緑とオープンスペース基本計画』(1999)、『葛飾の土地利用』(2003)をもとに具体的な考察を行った。この研究によって親水公園の新たな役割の可能性の発見にも繋がると考える。

06,「小学校統廃合後の活用事情 -京都と奈良を事例として-」
  北野 稜大・石田 侑生(京都教育大学附属高校)
(発表要旨)
 目的:近年、人口減少により加速している小学校の統廃合やその後の土地利用を調査する。また近年の統廃合による小中一貫校の増加についても調査し、小学校という新たな視点から少子高齢化という問題の現状と未来を考える。
 対象:京都市内の廃校になった小学校(元番組小学校等)、奈良のニュータウンの小学校
 方法:インターネット・書籍による調査。廃校になった小学校での現地調査
 結果と考察:京都市の場合、地域住民のその地域や学校に対する思い入れが強く、統合に際しても軋轢が生まれたり、廃校後には他の手に渡らずそのまま地域団体の集会所となるケースが多い。それに対してニュータウンでは、宅地化が主な路線となるようである(但し最近廃校になったニュータウンの小学校の今後の土地利用は未定)。また、統廃合後、小中一貫校となるケースもある。

07,「京都市伏見区の時代変化に伴う交通の変遷」
  遠藤 美羽(京都教育大学附属高等学校)
(発表要旨)
 学校所在地である京都市伏見区は、日本で初めて路面電車が走った場所であり(七条停車所~下油掛間)、明治天皇の御陵である伏見桃山陵や、京都と大阪を結ぶ水運の拠点となった伏見港が存在する。また、戦中には軍都としての役割も果たした。近年、インバウンドによる伏見稲荷大社の観光需要の増加、軍跡地に作られた大学による「学生の街」への変貌が見られる。こういった歴史的背景を踏まえ、時代による交通の移り変わりを示す。対象は、京都市東南部の交通網(旧京都市電伏見線・稲荷線、京都市バス、国鉄、JR、その他私鉄等)とし、各時代ごとに特徴的な範囲をフィールドワークや各種文献などでの調査を提示する。

08,「千葉市と八王子市の市街地移動の観点からみた比較」
  鈴木 颯太(千葉県立千葉高等学校)
(発表要旨)
 首都圏の都市に見られる市街地移動の特徴について、千葉市と八王子市の市街地を対象として、歴史的観点における市街地の面と線の関係、そこに鉄道が開通することによる旧市街地と新市街地の関係、私鉄駅とJR駅の関係などを、都市ごとに選定した歴史的ランドマークと鉄道駅の距離のデータや、鉄道や街道などの交通構造の略図を用いて分析した。これらの分析の結果から、千葉市は都市構造が面的であったために市街地移動がスムーズに行われ、私鉄駅とJR駅の距離が近かったことも相まって市街地がコンパクトになったこと、八王子市は都市構造が線的であったために市街地移動による都市の面的化が必要であり負荷がかかり、私鉄駅とJR駅の距離が遠かったことも相まって都市構造が複雑であったことがわかった。また、略図を作成したことにより1950年代の千葉市と八王子市の都市構造は共通点が多いことも明らかになった。

09,「足利市の栄えている大日大門通りと寂れている通り二丁目の魅力度比較調査」
  坂田 公希・若林 仁瑛・清水 健成・大山 育夢(栃木県立佐野高校)
(発表要旨)
 私たちの地元、足利市は足利学校などの観光資源がある。その近くにある大日大門通りは店舗も人の足も多く賑わっている。だが、そこから一歩離れただけの通り二丁目に行くと、いわゆるシャッター街が多くを占め、寂れた印象を与える。違いを調べるため、両通りにある店舗に客層や常連客の有無等についてのアンケートを行ったところ、全ての項目において大きな違いは無かったため、通り二丁目の方が人数が少ないと考えた。そこで、私たちは両商店街を歩く上での魅力度で比較をした。プランターや、バス停等の公共交通機関、ベンチ、ゴミ箱などの有無を地図に書き込んだ結果、ベンチやプランターが整備されている所の方が、通行量が多いことが分かり、目に見えて分かる空き店舗も少なかった。しかし、ベンチを利用している人は少なかったので、自治体や住民による商店街の環境改善への行動・意欲が歩行者通行量に関係しているのではないかと考えた。

10,「神社の水災害に対する立地的安全性」
  中村 紗梨(宮城県仙台二華高等学校)
(発表要旨)
 大町ら(2020)は、高田ら(2016)の「神社は自然災害発生時においても安全性を担保しうる立地特性を有している」という仮説をもとに名取川流域を対象に洪水シミュレーションを行い、多くの神社が災害に強い立地特性をもつことを示したが、いくつかの神社では洪水リスクが高いとされたものもあった。そこで、本研究では大町らのシミュレーションにおいて洪水リスクが高いとされた8社に着目し、詳細な文献調査および現地調査を行った。その結果、治水地形分類図で氾濫平野に位置する多賀神社を除き、水災害に対して安全な立地特性を有していることが分かった。また、各神社には想定浸水深を上回るかさ上げがなされていることが確認された。総じて、洪水氾濫リスク解析において洪水リスクが高いとされた神社は、周辺空間より安全な立地特性に準ずるよう建立された可能性が推察された。

11,「仙台七神社の関係性」
  井崎 英里(宮城県仙台二華高等学校)
(発表要旨)
 仙台市泉区には仙台七神社と呼ばれる七社がある。これらには泉区にあること以外共通点が見つからず、仙台七神社と呼ばれるようになった所以が分からなかった。そこでそれら七社の関係性について調査した。それにより泉区がより小さな村としてさらに細かく分けられていたころ、それぞれの神社は明治時代に制定された社格のうち村社に制定され、それぞれの村の中心的な神社であったこと、村の合併や神社の管理体制の変化などに伴う宮司の減少により同じ一族が七社を管理するようになると、その地理的な近さと重要性から管理する神社をアピールするために仙台七神社と総称するようになったことが分かった。神社が歴史的にまとめられることは頻繁にあるものの、地理的にまとめられることは珍しい。また調査した中で見られた宮司の減少や神社の合祀の増加などの現在の神社の変遷には、社格制度をはじめとする明治時代の改革が大きく影響していた。

12,「災害に強いまちづくりに向けた取組-岡山県玉野市における高潮対策を事例として-」
  野田 直也(岡山県立玉野高等学校)
(発表要旨)
 岡山県玉野市は、平成16年8月の台風16号による高潮被害を契機に、防災体制の強化が図られた。本研究では、玉野市における防災体制の整備状況、中でもハード面に焦点を当て、災害に強いまちづくりに向けた取組の現状を明らかにすることを目的とする。調査にあたっては、玉野市総務部危機管理課でヒアリングを行うとともに、高潮対策工事箇所の現地調査を行った。平成19年、岡山県は市中心部の宇野地区を流れる鳴滝川河口部へ防潮ゲートを設置し、玉野市は内水排水機能を確保するためのゲートポンプを設置した。これにより高潮発生時に防潮ゲートを遮断しても鳴滝川周辺の雨水による市中心部の浸水を防止できるようになった。国立公園に指定される渋川海岸では、岡山県が面的に防護する砂浜の拡張工事を行い、海岸の利用を踏まえた高潮対策が施された。このように、玉野市では地域の特性を踏まえた防災体制の整備が進んでいることがわかった。

13,「鎌倉を訪れる観光客の防災」
  目黒 奈央・川久保 真里(鷗友学園女子高等学校)
(発表要旨)
 鎌倉に来る観光客が有事の際に安全に避難できる方法を考えるということを目的とし、「鎌倉の観光客における防災」をテーマにフィールドワークを行った。本研究では津波と観光客にフォーカスし、鎌倉の代表的な観光地である小町通り、鶴岡八幡宮、由比ヶ浜で街頭インタビューを行った。これらの観光地は、津波の際には浸水すると推測されているが、観光客は津波に対する危機意識が薄いのではないかという仮定のもと、調査を行った。街頭インタビューの結果、若者や鎌倉へ来たことが少ない人の方、海の見えない地域に来ている人の方が鎌倉における津波の危険性の認知度が低いことがわかった。しかし、ただ防災用のマップを街中に貼り付けるのでは景観を損ねてしまい、鎌倉が危険な町である、という印象を与えてしまう可能性がある。そこで、SNSなどで工夫して発信を行っていくことで、より広い世代に情報が届くのではないかと提案する。

14,「コロナと共存し観光業を守るために」
  野田 実花(山脇学園高等学校)
(発表要旨)
 研究対象地域は、鎌倉市の小町商店街とした。飲食店に感染対策や、新型コロナによる変化をインタビューし、安全に観光を楽しめる環境が整っているかを調べた。また、ワクチンの接種率を調べ、他地域や他国と比較する。研究の目的は、観光業を守ることにある。研究の結果、飲食店へのインタビューでは、感染対策は県からの要請通りに行なっており、売り上げ・客数は5〜8割減で大打撃であった。客層は10〜50代が中心という結果になった。ワクチンの接種率は他国と比べると低いというデータが得られた。これらの結果から、感染対策に加え、さらにリスクを減らせる対策をした上で訪れた人に鎌倉特有の特典を付与すること、「飲食店では何回訪れたら割引」というようにまた来ようと思える環境を作ることなど、コロナ禍でも鎌倉を訪れている10〜50代が離れていかないような工夫が必要であると考察した。

15,「鎌倉市のプラスチックゴミ削減に向けての提案」
  野間口 紗英(桐光学園高等学校)・谷地田 桜子(鷗友学園女子高等学校)
(発表要旨)
 本研究では鎌倉市を調査対象とし、海岸のプラスチックゴミのポイ捨てを削減することを目的に、以下のような調査を行った。①鎌倉海浜公園由比ガ浜地区小町通り、若宮大路、鶴岡八幡宮付近のゴミ箱と駐車場の数②滑川、長谷駅の近くの川の河口で、5m区画内のゴミの量と種類 結果は、中心街や駐車場内にゴミ箱は確認できなかった上、観光客にゴミ箱の削減やゴミの持ち帰りを周知させる表示は見られなかった。海岸にあったゴミの多くはマイクロプラスチックが占めており、ペットボトルのラベルなど食品の包装に関連したゴミも発見された。海岸のゴミは、ポイ捨てされたりゴミ箱から溢れたりしたゴミが、川や海を通じて漂着したもの又は海水浴客が放置したものと予測される。以上より、プラスチックゴミを削減するために、小町通りなどの食べ物が持ち帰りができる店にて「食べられる容器」の導入を提案する。

16,「ハザードマップは自分事にしやすいか-学校での防災にかかわる活動を通して-」
  勝部 友麻・河尻 綾音・川延 玲奈・井手 美里・川田 未羽・鈴木 綾乃・
   近田 沙耶・濱 菜ツ穂・松島 美月・森川 日都美(品川女子学院)
(発表要旨)
 本校生徒の通学時間は平均1時間ほどであり,通学路の途中にどのような災害の危険性があるかを理解している生徒は極めて少ない。本校では,有志生徒が新入生に向けて,通学路の災害危険に関して,ハザードマップを使い情報共有のワークショップを実施している。開始から3年が経過したことを機に検証を行った結果,ハザードマップを見たとしても,場所が正確には理解できず記憶に残らないことが,反省点として挙がった。全校生徒に対するアンケート結果から,普段は公共交通機関で通過するため,通学路の大半は道路の構造や建物の配置といった位置関係が曖昧になっていること,地形図を見慣れていないこと,色が塗られていることで下の地図が見えづらいといった回答が得られた。本報告では,その詳細な回答結果と合わせ,どのような情報を補足することが必要か考察を行った。

17,「漁業の視点から考える香川県直島町の持続可能性」
  菊地 梨有来(岡山県立玉野高等学校)
(発表要旨)
 香川県直島町では、漁船漁業、魚類養殖、ノリ養殖を組み合わせた漁業が行われており、中でも、海面養殖業収穫量は県全体の約2割を占め、県下最大を誇る。本研究では、直島町における海面養殖業の現状と課題とを明らかにし、町の持続可能性について考察することを目的とする。調査にあたっては、直島漁業協同組合でヒアリングを行い、養殖に関する資料を収集した。直近10年間のハマチとノリの生産金額の推移を比較すると、直島町ではハマチに比べ、ノリの減少幅が大きいことがわかった。特に、令和2年は色落ちによる品質低下の影響で、ノリの生産金額は前年の27.3%まで落ち込んだ。赤潮防止のための水質改善はハマチ養殖にとっては有効であるが、栄養塩の濃度低下はノリの色落ちにつながる。ハマチとノリの養殖の両立は、直島町の漁業にとって大きな課題であり、瀬戸内海の環境保全のあり方とともに町の持続可能性を探る鍵にもなっている。

【参考出品】
 第17回国際地理オリンピック イスタンブール大会(オンライン開催)ポスタープレゼンテーション
 日本代表ポスター

(概要)今年の国際地理オリンピック(46か国・地域から182名の高校生が参加)のポスタープレゼンテーションは,例年と異なり「あなたの国の気候変動のさまざまな影響は何か?あなたの国は温室効果ガスを削減するという課題にどのように取り組んでいるか?(意訳)」などといった,気候変動に関するテーマが事前に与えられていた。本ポスターは,このテーマにそって事前に作成し,大会当日プレゼンテーションしたものである。

99, 「東京五輪2020 vs ヒートアイランド現象」

  片山 大誠(筑波大学附属駒場高等学校)・乙川 文隆(新潟県立新潟高等学校)・
  金澤 政慧(智辯学園和歌山高等学校)・中森 遼(灘高等学校)
【要旨】
 目的と対象:東京五輪に関係する環境問題と緩和策を探る。
 現状分析:前回の東京五輪以降東京は急成長し、温室効果ガス(GHG)排出量は激増した。市街地の急拡大と高層化も相まって、都心のヒートアイランド現象は顕著に表れ、五輪選手・観客の熱中症の危険を高めた。そこで五輪対策を通じてGHG排出を削減することで、影響を最小限に抑える取り組みが行われている。① 緑地化:「TOKYO GREEN 2020 推進会議」は都心の緑地を連結する「風の道」で東京湾の冷気の都心流入を目指し、都条例では屋上と壁の緑化が促された。② 交通:選手村ではトヨタの無人EVバス「e-Palette」が選手の輸送を担当し、ガソリン車と比較してCO2排出量を半分にした。③ 再生エネ:五輪協賛企業のエネオスは、再生可能エネルギーで53施設中49施設の電気を全て賄った。
 総括:日本は、COP21でのCO2 26%削減を超えて、46%の削減(2030年まで)を目指している。上記以上の努力が必要とされ、今後の生活様式の変化は不可避である。


高校生ポスターセッションの案内に戻る → https://www.ajg.or.jp/20210827/11436/