1999年度活動報告
産業集積研究グループ
(代表者 松原 宏)
目的: 近年,産業集積に関する議論が,さまざまな分野で活発に行われてい
る.欧米では,地理学のみならず,経済学・経営学など広い範囲の学問分野で
重要な研究課題として,産業集積が注目されてきている.そこでは,従来の集
積論を超えた新たな理論的なアプローチが展開されるとともに,シリコンバレ
ーやイタリア中・北部など,世界各地の実証研究も蓄積されてきている.
一方,日本においては,従来より立地理論における集積論研究,あるいはまた
工業地理学における地場産業・産地研究,工業地域研究という形で多くの研究
蓄積がなされてきた.
本研究グループでは,こうした欧米の最近の産業集積研究と日本におけるこ
れまでの研究蓄積とを合体させ,国際的な比較研究や日本における産業集積の
実態分析などの報告・討論を通じて,産業集積研究の理論・実証両面での進展
を図りたい.
また,産業集積に関しては,通商産業省の立地政策の柱となりつつあり,産
業の空洞化,地域経済の活性化といった政策面での提言も視野に入れた,議論
を活発に行っていきたい.
@研究集会を3回実施した.
〔第1回研究集会〕 3月27日,於 専修大学生田キャンパス,出席者40名.
松原 宏(東京大):「集積論の系譜と『新しい産業集積』論」,竹内淳彦
(日本工業大):「工業集積をめぐって−−集積の分析と政策」
〔第2回研究集会〕 10月10日,於 四国大学,出席者19名.
須山 聡(駒澤大):「在来工業地域における地域文化形成に産業が果たす
役割の予察的考察」,山本健兒(法政大):「ドイツにおける産業集積」
〔第3回研究集会〕 11月19日,於 大阪市立大学,出席者31名.
長尾謙吉(大阪市立大):「東大阪地域における工場立地と地域的存立基盤」
,義永忠一(関西大・院):「東大阪市高度工業集積地における機械・金属小
零細企業の取引関係−−旧布施市柏田西・渋川町地区を中心に」,伊藤喜栄(
神奈川大):「日本経済の中の産業集積」
なお,20日午前中には,長尾謙吉会員の案内で,「東大阪地域の産業集積」を
テーマとした巡検を行った(参加者24名).
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