(1)地籍図類による景観復原研究グループ

2007年度活動報告


代表者  水田 義一
 日本地理学会の春と秋の大会に合わせて、会員の研究発表と情報交換を行った。
 春季大会では、土平 博(奈良大学)、藤田裕嗣(神戸大学)によって、「中・近世都市、周防山口における地割分析と地籍図の利用―近世史料「坪附帳」の検討から―」と題する研究発表が行われた。守護戦国大名として著名な大内氏の本拠であった山口の町の近世の姿を復原し、合わせて中世都市の様相を考察するものである。坪附帳の記載内容を明治期の地籍図と比較し、正確な町の形態を復原した。復原された範囲は山口の町場に当たる部分であるが、地形環境、街路形態などを総合的に解釈して、中世都市の復原の手がかりも多く提示された。参加者から史料の成り立ち、町の形態の復原に関わる問題点についての質疑・意見が交わされた。

 秋季大会では磯永和貴(東亜大学)によって、「肥後藩の測量家と明治期作成の地籍図」と題する大会開催地にふさわしい研究発表が行われた。測量術と和算は深い関係を持ち、江戸時代の塾で和算と測量術が継承されていた。塾で学んだ者が、村へ帰ってそれぞれの地域での測量を担当している。熊本県において明治初期に作成された地籍図のいくつかは、幕末の測量術を学んだものが担当したものであることを報告した。前年川名氏によって報告された臼杵藩の事例も、江戸時代の村絵図と明治期の地籍図の深い関係を、地図の作成者の系譜を辿って明らかにされたものである。参加者から塾の性格、塾で教えられた内容など多くの質疑・意見が交わされた。会の終了後、地籍図研究の現状と、地籍図の保存問題に対する状況報告と意見交換が行われた。

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